ラノベ
「ハイブリッド・ファンタジー」。これは、旧シリーズ刊行当時公式で使われてた「オーフェン」のアオリ文句だ。多分、蒸気機関やガス灯が実用化されてる一方で「ドラゴン種族」が依然として存在するような世界設定のことを指して言ってるんだろう。それ以外…
ヤマグチノボル「ゼロの使い魔」が、このほど完結した。本作は、ライトノベルにおける異世界トリップ物の中興の祖である。が、20巻出たところで著者がガンを患っていることが判明、2013年に逝去。遺されたプロットを元に21巻、最終22巻は書き上げられたそう…
漫画やアニメなど、過去にハマってたものを挙げてくと年齢がバレるという。でも、売れた作品っていうのは、自分たちのものだと思い込んでても、案外下の世代も読んでたりするものだ。多少ブームが過ぎても、それまでに築き上げた知名度が慣性となって、新規…
まあまだ25周年までは1年あるのですが。 「魔術士オーフェン」のテレビアニメ化が発表されました。このシリーズは、秋田禎信先生によるファンタジー小説/ライトノベルです。魔術士の最エリート候補だったけれど、行方不明の姉を追って学校を出奔し、はぐれ…
アメリカのSF作家ロジャー・ゼラズニィの著作に、Changering(1980)というファンタジー小説がある。赤子の頃、神話的な異世界と20世紀の地球で互いに「取り替え」られた、二人の男をめぐる物語である。邦題を『魔性の子』という。 強大な魔力を持ち、長年に…
「異世界で自衛隊が活躍する」 「『ゲート 自衛隊 彼の地にて、斯く戦えり』だ……」 「エルフが奴隷にされたりする」 「『ゲート 自衛隊 彼の地にて、斯く戦えり』だ……」 「政治、経済、軍事、その他社会的な風刺もたくさん盛り込まれてる」 「『ゲート 自衛…
富士見書房*1が発行するライトノベル雑誌『ドラゴンマガジン』は1988年に創刊され、今年30周年を迎える。『スレイヤーズ』や『オーフェン』、『フルメタ』などが連載されてきた、ファンタジア文庫の旗艦雑誌である。 ドラゴンマガジン 2018年3月号posted wit…
「この素晴らしい世界に祝福を!」について、担当編集者が「現代版『スレイヤーズ』」と評したことがある。なるほど、ファンタジーRPGのお約束をとことんいじるという点で言えば、「このすば」を始めとしたなろう系の作品群は、1990年代に一世を風靡したライ…
スレイヤーズとオーフェンのコラボ:同じ富士見の看板だったからわかる。 血界戦線ノベライズ:作者同士が交流あるしわかる。 ニトロプラスのエロゲの公式アンソロに参加:ニトロの原画家が『ベティ・ザ・キッド』の挿絵担当したことあるしわかる。 こち亀と…
10月に発売されたムック『米澤穂信と古典部』では、原作者が考えた「古典部」メンバー4人の本棚が公開されていた。 米澤穂信と古典部posted with ヨメレバ米澤 穂信 KADOKAWA 2017-10-13 AmazonKindle楽天ブックス楽天kobo オタクとしての伊原摩耶花 「古典…
人外×少女の現代ファンタジー漫画、ヤマザキコレ「魔法使いの嫁」の、小説アンソロジー。先行して発売された『金糸篇』とは執筆陣を替えての一冊。 東出祐一郎「ウォルシュ家攻防戦」 真園めぐみ「ナチュラル・カラーズ」 吉田親司「戦場の赤子」 相沢沙呼「…
千年かけて練り上げた魔導によって、破壊も創造も思いのまま。退屈を厭い、世界崩壊レベルではた迷惑なゲームをヘルサレムズロットに仕掛ける怪人、堕落王フェムト。彼が持ち合わせてないのはただ一つ、「普通(グッド)」であること――。ある日、たわむれに…
銃は、大陸でも類を見ない、強力な兵器のひとつではあった。が、最強ではない。便利ですらないかもしれない。数発撃つごとに暴発の危険性は高まり、さりとて一発目から危険がないわけでもない。故障も多い。それでもなお、この武器は騎士たちの誇りであり続…
「魔術士オーフェン」シリーズは、90-00年代にファンタジア文庫から刊行されたラノベだ。当時のファンタジア文庫といえば、書き下ろしのシリアスな長編と雑誌連載のギャグ短編、二つのシリーズが同時進行するスタイルをもって人気を得る作品が多かった。「オ…
お盆は死んだ人が帰ってくる。とは言うものの、まさかこの作品が帰ってくるとは思わなかったよね。 ラグナロク―黒き獣 (角川スニーカー文庫)posted with ヨメレバ安井 健太郎 角川書店 1998-06 AmazonKindle 1998年。ラノベ業界のファンタジーブームは既に収…
「我は放つ光の白刃」など、「オーフェン」に登場する呪文は、日本ファルコムのRPG「ダイナソア」のパクリ――。「オーフェン」ファンなら、一度は耳にしたことがある疑惑だ。 「オーフェン」シリーズの呪文のカッコよさ 秋田禎信の「魔術士オーフェン」シリー…
そもそも「少女小説」とは。新井素子「星へゆく船」や氷室冴子「なんて素敵にジャパネスク」、小野不由美「十二国記」、今野緒雪「マリア様がみてる」、雪乃紗衣「彩雲国物語」などの、少女に向けて書かれた小説のことだ。大正時代、吉屋信子のエス小説(百…
小説家の佐藤大輔が、虚血性心疾患のために亡くなった。享年52歳。多くの未完作を抱えての逝去だった。 mainichi.jp 氏については「征途」「レッドサンブラッククロス」「皇国の守護者」などの(仮想)戦記を執筆した作家、というのが多くの人の認識だろう。…
数多の異世界転生物がヒット作を飛ばしている。中でも「この素晴らしい世界に祝福を!」は特に、90年代を生きた人たちにある種の郷愁をもって迎えられているみたいだ。 曰く「めぐみんの爆裂魔法はスレイヤーズのリナが使うドラグスレイヴだ」「じゃあめぐみ…
あの頃、別に早く大人になりたかったわけじゃない。ただ、子供扱いされるのは間違いなく嫌だった。 児童文学は親が子供に買い与えるもの、ライトノベルは子供が自発的に買うものだ、とよくゆわれる。だからだろうか、児童文学として売られるものには「この本…
私の人生に一番影響を与えたラノベは、「魔術士オーフェン」でまず間違いない。作者の秋田禎信に関しても、旧シリーズが終了してからもずっと追い続けてる。 じゃあイラストの草河遊也はというと、正直ファンタジア文庫版の頃はそこまで熱狂的なファンではな…
www.adventar.org ※この文章は、秋田禎信関連アドベントカレンダーの一日目の記事です。 内藤泰弘原作「血界戦線」のTVアニメ2期が、2017年に放送されることが決定した。ストーリーなど詳細はまだ明らかにされていないが、ノベライズでありながら一部の人か…
一般にライトノベルは短編が少ないとされている。書き下ろし長編のシリーズ物がメインというのがその主な理由だろう。ドラゴンマガジンや電撃文庫magazineに掲載されるのも、シリーズ物の外伝短編が多い。でも、たまにミステリのアンソロジーとか読むと結構…
上遠野浩平の新作は、ノン・シリーズ物のゲーム小説。講談社ミステリーランドの一作として刊行された『酸素は鏡に映らない』以来のハードカバー単行本となる*1。同じく祥伝社の、これはノベルスとして出ている「ソウルドロップ」シリーズと僅かながら繋がり…
実写映画「ぼくは明日、昨日のきみとデートする」が12月17日から公開される。原作は2014年に刊行された七月隆文の恋愛小説。10代、20代の女性にものすごく売れて、発行部数は100万部を突破したらしい。あの七月隆文が! 一般文芸で! 若い女性に受けて! 100…
ライトノベルと図書館の関連性が話題になる度、最近の図書館にはラノベが置いてるのか! という声が上がる。一方で、いや昔からラノベ置いてあったしなんなら自分で購入希望出して入れてもらったし、という反論も出てくる。実際そこのところどうなの、と思っ…
90年代後半から00年代前半のオタク文化というと、セカイ系だったり泣きゲーだったり少年犯罪だったり何かと根暗なイメージがある。実際に個々の作品を当たってみると案外そうでもなかったりするんだけど、逆にそんな時代だからこそ、健全な価値観の作品が「…
11月4日に中央大学の学園祭「白門祭」にて開催された、河野裕先生の講演会に行ってきた。中央大学にお邪魔するのは、3年前に米澤穂信先生の講演会に参加して以来だ。って、そういえばあれも文学会さん主催のイベントか。いつもお世話になってます。 正式名称…
「ライトノベル個人史」みたいなものを書きたくなったりすることもあるのだけど(そして同時に、そういうものを聞きたいし読みたいぞ、と頻繁に思ったりもしているのだけど、あまり「順を追うように」書いてくれてる文章って、巡り逢えてなくて、常に飢えて…
アニメ化に乗って、以前から気になっていた「バーナード嬢曰く。」を読んでいた。kindle unlimitedのラインナップに入ってたし。そしたらなんだか「俺ガイル」を連想してしまっていた。 読書家の自意識 読むとなんだか読書欲が高まる“名著礼賛”ギャグ! 本を…