周回遅れの諸々

90年代育ちのオタクです

サンリオ男子とサンリオアニメ男子は違うし全フェアリル研究家は瀬谷愛さんを讃えよ

ハローキティマイメロディ、ボムポムプリン。サンリオの生み出したかわいいかわいいキャラクターたち。彼らではなく、彼らをこよなく愛する男子高校生たちを主役に据えたアニメ「サンリオ男子」が、現在放映されてる。


 サンリオ男子 - 俺たち、青春、はじめました。

意外に人情派な「サンリオ男子


事前情報からイケメンたちによるもっとゆるゆるでキラキラな作品だと思ってたら、サンリオ好き男子の悩みについて意外にも実直な、悪く言えば重苦しい内容で驚いた。


人情モノ、というのが近いだろうか。おばあちゃんにもらったボムポムプリンを大切にせず、そのことを謝れないまま逝かれてしまったプリン好き、留守がちの親に代わって遊びもせず家事をこなしてるのに妹に趣味をなじられるマイメロファン、部活のチームメイトに突っかかるような物言いばかりしてしまうキティさん信者。


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ハローキティを女神と崇め「キティさん」と呼ぶ吉野俊介くん


中学生になっても妖精=フェアリルを信じてるのにクラスの人気者だし自分に何ら恥じることのない「リルリルフェアリル」の一期主人公(の片割れ)、花村望くんとは大違いだ。

サンリオアニメ男子


私自身はというと、2005年、アニメ「おねがいマイメロディ」にハマった。以来「ジュエルペット」「リルリルフェアリル」と、サンリオとは10年以上の付き合いになる。


sube4.hatenadiary.jp

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今は、下手したら「サンリオ男子」の親のほうが年齢が近い。当時から独り暮らしを始めてたし、周囲には女児アニメ好きのオタクが多かったので、そのことで悩んだり他人からどうこう言われることはなかった。ので、実際のところあのアニメに対して共感しきれてないところはある*1


とはいっても、私は劇中の主人公たちのように特定のキャラクターにハマってグッズを買い込んで、ということはほとんどしてない。アニメ化された作品をメインに楽しんでる。数多あるアニメの中のサンリオアニメという枠でものを観る、サンリオ男子ならぬサンリオアニメ男子だ。っていうかサンリオアニメおじさんだ。ピューロランドも近所なのにまだそんな回数行ってないしね。


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アニメ「サンリオ男子」をリアルタイムで観ながら、視聴者主観パート*2になると「俺に話しかけてくれた!」「俺のことか」と書き込む。そんなサンリオアニメ実況民男子がうじゃうじゃいることを、主人公たちはきっと知らない。


サンリオアニメ男子の悩みは、アニメから入って購入するグッズが限られることだ。ハローキティにしろマイメロディにしろ、「原作」には、これを押さえておけばOKっていうような一本道のストーリーはない。ただし、世界観や設定、キャラデザの独特の「味」のようなものがあって、ぬいぐるみなんかになった時には、それが顕著になる。アニメ勢には、それが壁になる。まあ「原作」が漫画なりラノベなり別に存在するアニメには、お決まりの光景ではある。ピューロのCMで映るキャラクターの着ぐるみも、実況ではネタとして消費される。実際現地でグリーティング*3なんかを体験してみると可愛いんだけどね……それでも、マイメロは元の人気の分グッズも多いので、まだよかった。


珍しく原作とアニメの両方に準拠した商品が発売された超合金マイメロ


ジュエルペットやフェアリルは、そもそもの選択肢が少ない。今、サンリオのショップ「ギフトゲート」に行ってみるといい。テレビアニメが放映中とは思えないほど、フェアリルの存在感は薄い。アニメオリジナルの人間キャラのグッズなど、推して知るべし。そもそも、原作は原作、アニメはアニメ、という考えがサンリオには強いように思える。ピューロの定番キャラにまで上り詰めたクロミ様やウサミミ仮面、あるいは最初からターゲットがオタクに向いてる「SHOW BY ROCK!!」は例外。……そう思ってた。

フェリルデザイナー・瀬谷愛神


原作「リルリルフェアリル」のデザイナー・瀬谷愛さんの生み出すイラストは、福音であった。ポプラ社から刊行されている絵本「リルリルフェアリル トゥインクル スピカと迷子の流れ星」「同 スピカと迷子のドレス」。


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そして、フェアリルの暮らしを紹介する「リルリルフェアリル ひみつの図鑑」。


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フェアリルマージ主人公の乙女ゲーかな?


いずれも瀬谷さんのイラスト満載の本だ。ソフトな色遣いのアニメに対して瀬谷さんのそれは、柔らかい絵の中にビビッドなトーンが使われてるのが目を惹く。オシャレで、ちょっと大人な感じ。きらきらした小物が散りばめられていて、読む度に新しい発見がある。リトルフェアリルの世界が、そこには広がっている。本棚の手に取りやすい位置に並べといて、ふとした瞬間にページをめくりたい。そしてカワイ死にたい。


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うわあああああありぷさくだあああああああああああ


2年前の企画開始当初に比べるとアニメの絵柄に歩み寄っていく姿勢が感じられ、その上で持ち味も失ってない。自分がサンリオに求めたものはこれだったんだ! という最適解が、ここにある。……あるいは、今までにも存在してたけど、自分が見過ごしていたのかもしれない。40年以上kawaiiで喰ってきたサンリオを、多分侮ってた。そんな自分が、心洗われた。……ホントはこんな文章書かずとも、道行く人に『ひみつの図鑑』を見開きでぱらぱらめくり続ければ、フェアリルが「視える」人はそれだけでぎゃって悲鳴を上げて尊さに倒れるはずなんだよ! でもそれやったらお巡りさん呼ばれちゃいそうなので、できないのがもどかしい。


瀬谷愛さんは、サンリオの「食キャラ」でぐでたまと人気を二分するKIRIMIちゃんのデザイナーでもある。Twitterでもたまにフェアリルとのコラボイラストをアップロードしてくれる。ピューロのアニメのイベントでも、その縁でKIRIMIちゃんが登場してくれた。



でもそれに加えてフェアリルでもこうやって本出してサイン会バンバンやって、結構な忙しさであることが想像される。ご自愛を……と思いつつ、いつかサイン会にも行ってみたいなあと思う欲深なファンですいません。


*1:なのに目を離せないのはなんでだろう……

*2:何故かアニメ「サンリオ男子」の恒例になってる、キャラクターが何の前触れもなく視聴者女性に話しかけてくるパート

*3:来場者一人一人がキャラクターと一緒に写真撮ったり抱きついたりお話したりできる。着ぐるみなので喋れはしないけど