周回遅れの諸々

90年代育ちのオタクです

みんなが知ってるサンリオキャラの名前は厳密には商標名であってキャラの固有名称ではなかったりする話

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文房具にお菓子、アパレル用品、シニア用の杖、はては新幹線や飛行機に至るまで。日常生活のあらゆるところにサンリオキャラはひそんでいます。私たちはそのキャラクターがサンリオ産だと認識せず、外見と名前しか知らないまま、お気に入りに登録することも珍しくありません*1


でもその名称すら、あくまでそのキャラクターが登場する作品タイトルというか家族やお友達も含めたプロジェクト名というか商標であって、キャラクターの本名そのものではなかったりするのです。


nlab.itmedia.co.jp


他にも例を挙げてみます。

ハローキティ


ハローキティ」という作品? に登場する、みんなが知ってるあの子の名前はキティ・ホワイト。関係人物には妹のミミィ、ボーイフレンドのダニエル、飼い猫のチャーミーキティなどがいて、ダニエルは「ディアダニエル」として別に商品展開もされています。


2011年に生まれた「イチゴマン」はキティが変身ヒーローに扮したキャラクターで、いつものキティとはパラレルな存在なのかなと思いきや、公式サイトには「正体はハローキティ*2とあり、一応は同じ個体のよう。近年キャラクター大賞上位の常連となってる「YOSHIKITTY」は、同サイトに固有のページがないのでどういう扱いか不明。


yoshikittyぴあ (ぴあMOOK)

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  • 発売日: 2019/05/22
  • メディア: ムック

リトルツインスターズ


リトルツインスターズ」の主人公は双子星のキキとララ。2007年には「マジカルツインコメッツ」というキキララと幼なじみの双子――「マイメロディ」におけるクロミ様みたいな?――が生まれましたが、この子たちはそれっきりみたい。可愛いのにもったいない……。この手のキャラでは「シナモロール」から派生した「ルロロマニアック」のベリーとチェリーも好きですね。悪魔の角ともふもふボディのギャップ。

マイメロディ


マイメロディ」の主人公の本名はメロディ。2005年のアニメ「おねがいマイメロディ」で【通称マイメロ】と紹介されていたのはだから、そういう背景を踏まえてのものだったんですね恐らく。原作での本名は「メロディ」だけどこのアニメではマイメロって呼ぶよ、と。


「おねがい~」から生まれたアニメオリジナルキャラのクロミは今でも大人気。サンリオキャラクター大賞で「マイメロディ」と鎬を削るまでに成長しました。クロミ人気に隠れがちですが、同じ例としてマイスウィートピアノことピアノちゃんというスピンオフキャラも。他に、リトルフォレストフェロォはメロディのはとこという設定になっています。


トミカ ドリームトミカ No.149 マイスウィートピアノ

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  • 発売日: 2015/07/18
  • メディア: おもちゃ&ホビー

けろけろけろっぴ


趣旨からはちょっと外れるけど「けろけろけろっぴ」の主人公の名前ははすの上けろっぴだそうです。なんかすごい風流な苗字だ……!

KIRIMI.ちゃん

KIRIMIちゃん.のまいにち。

KIRIMIちゃん.のまいにち。

  • 作者:サンリオ
  • 発売日: 2015/02/04
  • メディア: 単行本



鮭の切り身の擬人化という斬新さで名を馳せた「KIRIMIちゃん.」ですが、みんなが知ってるあの子の名前はきりみちゃん。他にタイくん、ブリくん、かまぼこちゃん、なるとちゃん、「人間界でいちばんのお友達」声優のつばさくん代永翼)がいます。

ジュエルペット、からの




これまで挙げた例は、作品名orプロジェクト名or商標……がすなわち主人公の名前ではないけど、実態としてほぼ主人公のことを指していて、だから紛らわしいといった場合がほとんどでした。


主人公は作品の顔」。キャラクターを他社の商品に載っけさせてもらってそのロイヤリティで利益を得るサンリオにおいては、この言葉は特に正鵠を射ています。


老若男女色んなファンに寄り添うため、サンリオは様々な世界観を持つキャラクターを世に送り、付随する作品世界、物語、設定、仲間たちをも生み出し続けています。ですがやっぱりそれらはおおむね背景でしかないというか。商品パッケージに採用されるキャラこそが主役なんですね。だから、これまで何度か「作品」という言葉を使いましたけれど、彼ら彼女らを主題にしたアニメなどに対して「サンリオの原作」という場合一体何を指して原作と言ってるのか。コレ! というものを挙げるのはなかなか難しい。みんなが触れる「原作」がないから*3、キャラクターの本名も案外知らなかったりする。


ですが「ジュエルペット」は違います。様々な動物をモチーフに宝石の瞳を持つキャラが登場するこの作品には、主人公らしい主人公はいません。ニホンウサギのルビーは版権イラストには必ずといっていいレベルで描かれててアニメのクレジットでも一番上にいるけど、キティやメロディほど突出した主役感があるわけでもない。強いて言うならジュエルペットという生き物みんなが主役。これは「SHOW BY ROCK!!」や「リルリルフェアリル」などでも同じですね。ポケモンみたいにある共通点を持つ種族をいっぱい出して、誰が主役というわけではない。


リルリルフェアリル ひみつの図鑑

リルリルフェアリル ひみつの図鑑

  • 発売日: 2018/01/26
  • メディア: 単行本


そうそう、逆に作品タイトル=キャラクター名が完全一致する例としてはポチャッコハンギョドンなどがいます。

キャラクター大賞の孕む矛盾


ファンが【彼女】をメロディちゃんと呼ぼうとマイメロと呼ぼうと何か問題があるわけではありません。「メロディちゃん」と呼んでると「おっこの人は【原作】を知ってるファンだな」と思えるくらいで。作品について語ってるのか固有のキャラについて語ってるのかも大抵の場合文脈から読み取れるでしょう。


blog.livedoor.jp


上のブログで触れられているように、サンリオ公式でもキャラクターに対する呼称はそこまで厳密な運用をされていない、という面もあります。


じゃあ商標とそれが指すものと実際的な主人公のズレがどんな時に問題になるかっていうと、先ほどから何回か触れてきたキャラ大、サンリオキャラクター大賞です。【キャラクター】大賞と言いながらこの場では「ハローキティ」「マイメロディ」「リトルツインスターズ」「ジュエルペット」「リルリルフェアリル」……といった風に、基本的に作品/商標ごとの投票する仕組みになっています。


するとどうなるか。登場するキャラクターが80人以上いる「~フェアリル」とほぼ単一のキャラで構成されている「ディアダニエル」が同じ土俵でぶつかる、という状況が生まれてしまうわけです*4


ranking.sanrio.co.jp



キャラクター大賞というよりは作品ごとの投票と捉えたらいいだけか、っていうとそうでもなくて。サンリオ側もこの不均衡を分かってるのか、「SHOW BY ROCK!!」は最初作品単位だったのが翌年にはシンガンクリムゾンズプラズマジカとあとなんか色んなユニットごとの投票になってて、それがまた数年経つと作品単位の投票になってて……と回によって離合集散を繰り返すのが混乱に拍車をかけるのでした。

*1:場合によっては名前すら知らないことも

*2:ここはキティ・ホワイトではないのか……?

*3:ピューロでのショーとか?

*4:じゃあ数が多いほうが有利かっていうと一概にそうとは言えないのがおつらいところ