周回遅れの諸々

90年代育ちのオタクです

秋田禎信「魔術士オーフェンはぐれ旅 まだ遠くはない夜にて」

アニメ「魔術士オーフェンはぐれ旅 キムラック編」BD・DVDに付属する特典SSのネタバレ感想です。これを書いている時点で筆者は「キムラック編」を視聴していないので、仮にあちらに絡めたネタがある場合気づかない可能性大。


本文11ページ。時系列は恐らく本編第一部「我が塔に来たれ後継者」と「我が遺志を伝えよ魔王」の間。登場人物はオーフェンマジククリーオウとレキ。


f:id:megyumi:20210507191558p:plain


まだキムラックは遠く、どちらかというとタフレム郊外に近い場所で野営していた夜。マジクは魔術士としての自分の至らなさ、【お師様】や母親の武勇伝との差に悩んでいた。


クリーオウはそんなマジクに対し、「マジクは駄目な魔術士なんじゃなくて単にまだ魔術士でもなんでもないんだから凹むのは筋違いだ」と諭す(?)。マジクは一応納得して、自主練をすると言って去っていく。


と、そこで寝たと思っていたオーフェンがクリーオウに声をかけてくる。どうやら二人の会話を聞いていたらしい。これ幸いとクリーオウは「マジクのように悩みはないのか」(それを話してはくれないのか)と聞くが、彼はいつものようにはぐらかすだけだった……。


レキを除いた登場人物の三人ともが自分の思っていることを言わず、聞きたいことは聞けない。秋田作品の定番ディスコミュニケーション話だ。

  • マジクは今の自分ができるようになったと喜んでいる程度のことお師様はもっと幼い頃にできるようになったのだと思い込んでいるが、こと魔術に関しての成長速度はマジクのほうが圧倒的に早い*1
  • クリーオウはオーフェンが自分の過去を話そうとしないはぐらかしてると思っているが、何も隠そうと思って隠してるんじゃなく、彼にとってはそういう付き合い方が普通なんじゃないか(もっとタチが悪い)。
  • マジクになにか言ってあげたら、と言うクリーオウにオーフェンは「マジクの母親のことを何も知らない自分が何を言ってもしょうがない」と返すが、本気で言ってるとしたらラブコメの鈍感主人公ムーヴかよ。

オーフェンもいつかは何でも話してくれるようにならないか。これはクリーオウ自身「今はまだ無理」だと半ば諦めていて、「今はまだ」と言われると逆に将来への可能性を感じさせるが、でも約20年後に夫婦になっても「何でも話してくれる」とまではいってないよなあ人間関係ってそんなもんだよなあ。


*1:「機械」参照