「かぐや様は告らせたい」 ラブコメにレクリエーション要素を持ち込む
ヤンジャンで連載中のラブコメ、赤坂アカ「かぐや様は告らせたい~天才たちの恋愛頭脳戦~」が面白い。「
「恋愛は告白した方が負けなのである!」 家柄も人柄も良し!! 将来を期待された秀才が集う秀知院学園!! その生徒会で出会った、副会長・四宮かぐやと会長・白銀御行は互いに惹かれているはずだが…何もないまま半年が経過!! プライドが高く素直になれない2人は、面倒臭いことに、“如何に相手に告白させるか”ばかりを考えるようになってしまった!? 恋愛は成就するまでが楽しい!! 新感覚“頭脳戦”ラブコメ、開戦!!
ヒロインとただイチャイチャするためだけに
数年前、「
で、その時に気づいたのが、ストーリー
作中に出てくる遊びは既存のものにせよ著者が独自に考えたものにせよ、おおむね他愛ないもので、そういう意味では土橋真二郎の「OP-TICKET GAME」はこの並びに入れるには真面目にゲーム性を追求しすぎてるかな。拡大解釈して「生徒会の一存」「はがない」辺りも入れていいかも。プレイする
こじらせ高校生たちの恋愛頭脳戦
「かぐや様は告らせたい」も自分の中ではこの枠に入っている。腹黒ヤンデレ気味の四宮副会長。唯一、一般家庭の出だけど度を越した努力家の白銀会長。海外のアナログゲームを好み、二人の間を無自覚に引っ掻き回すゆるふわ巨乳・藤原書記。主にこの3人が生徒会室で、どっちから先にメルアドを聞くかといった日常的な駆け引きから始まって、ババ抜き、心理テスト、NGワードゲームなどの一般的なレクリエーションなども展開していく。ゲーム自体も面白いけど、それ以上にこの連中だからこそゲームに興じてる様子が面白い。セックスに際した好き合ってる男女の頓痴気な掛け合いを描いた縁山先生のエロ漫画とか近いものがあるかも。
彼らのゲームに際した論理はいつもああでもないこうでもないと無駄にこねくり回したもので、空回りっぱなし。うまく伝わるかわからないけど、そういうところが「スレイヤーズ」の昔から「王道」を避けたがるラノベをアオリに持ってきた理由、とは言えるだろうか。魔術士オーフェン「はぐれ」旅、ブギーポップは笑わ「ない」、俺の妹がこんなに可愛いわけが「ない」、僕は友達が少「ない」、俺の青春ラブコメが「まちがっている。」等の題を見れば分かるように既存の価値観への懐疑*2こそがラノベの正道だ。いやまあ、あのアオリはそこまで考えてないとは思うけど。
内容が内容なので、ビッグ主語としての「男はどうせこういうのが好きで」「女はこういう生き物で」みたいな展開も多いけど、時に一個人としての白銀とかぐやが、軽やかにそれを裏切っていくのがいい。恋愛の駆け引きなんていう一歩間違えれば地獄にしかならない題材をギリギリのところでエンタメに仕立てている。
ラブコメにおける主人公以外の男キャラの悲哀
わたしが好きなキャラは、コミックの方では3巻目から登場する生徒会の4人目、石上会計(男)。会計としての能力は抜群だけどきわめて影が薄く、2巻まで姿を見せたことはなかった。リア充死すべしで凝り固まっていて、悪気はないんだけど絶妙にタイミングがまずく、普段は根暗なのに、ふとしたきっかけで白銀と猥談で盛り上がっているところを女子二人に見つかり、彼だけ冷たい目で見られて涙したりする。
特に副会長からは、読者に「東京喰種(グール)」と評される表情をよく向けられている。でもどっちかというと、ドン引きするような発言を笑い話で済ませようとしてくれる藤原書記の気遣いのほうがつらい。
コミュ障なので、一度エンジンがかかると踏み込んじゃいけないところまで踏み込んじゃう。例えば白銀会長が結婚したとして、その後も友達付き合いを続けようとするんだけど、
まだ単行本は3巻しか出ていないけど、きわめて単純なシチュエーションコメディなので、既に各々のキャラ格はある程度確定している。あとはわたしたちは、彼らが他愛ないレクリエーションに一喜一憂する様子をニヤニヤしながら眺めていればいい。