周回遅れの諸々

90年代育ちのオタクです

「あにトレ!EX」「あにトレ!XX」 アニメ体力減退からのスローアニオタライフ

2016年秋アニメ新番のド本命といえば……? それはもちろん、「あにトレ!EX」の待望の二期「あにトレ! XX(ペケペケ)」ですよね。



フィジカルエクササイズアニメ「あにトレ!」シリーズの魅力


大胸筋とか腹直筋とか広背筋とかを鍛え、また脂肪を燃焼させるために。アイドルを目指す女の子が薄着でエクササイズしてるところを、無闇に被写体に寄ったえっちなアングルで魅せる。ただそれだけの短編アニメ。30分アニメだったらビデオグラムの特典映像になってそうな。時々彼女たちがカメラに向かって話しかけてきて、一応視聴者も一緒にトレーニングするという体になってるものの、私たちの作中でのポジションがプロデューサーなのか彼氏なのかはいまだによく分かっていない。でも、そのためにより一層の臨場感が味わえる。


ドラゴンボール亀仙人のじっちゃんがエアロビクスの番組を齧りつくように観ていたその気持ちがよく分かる、そんなアニメが本作だ。先行した類似企画*1いっしょにとれーにんぐ」ももちろん好きでした。監督は木村真一郎。主演は門脇舞以によく似た声の人。



さて。一応「あにトレ」はフィジカルを鍛えるという名目の番組で。健康が気になり始める年代=金持ってるってことだし、周囲でも最近ジョギングや自転車始めた人が結構いるので、オタ向け健康商法というのはわりと慧眼だな、とも思ったのだけど。わたしはどちらかというと、アニメ体力という名のメンタルの強化を図る目的で観ているみたいなところはある。

アニメ体力問題


原因は分からない。通常の体力と同じように加齢のせいかも知れない。この10年間くらいは、アニメ体力の減退を実感する日々だった。30分番組を2話以上立て続けに視聴できない。毎期の新番をチェックしても、なかなか実際に視聴するところまで行かない。大体どれも観れば面白いのに、足が重い。切る切らないの判断をいちいち下すのが面倒くさいとか、毎週の内容であれやこれやと荒れるインターネットに振り回されるのが疲れるとか、内容に関わらない諸々も煩わしい。アニオタとしての脳が複数の新規作品を並行して観るというマルチタスクを許容できない。


体力の減退とゆっても右肩下がりに減っていったわけではなく。どうにかしようと試行錯誤した成果もあり、改編期ごとに波はありつつ、全体として見るとやっぱり衰えてるのかなあといった感じで。現状の視聴態度としては

  • そのクールに新規に放送している番組は続編やよほど注目している作品を除いて諦める。放送終了して評価が確定/自分のペースで観られる話数が溜まってから選択肢に入れる
  • 新規放送は極力リアルタイムで観て、「俺は今、最新のアニメを観ている……! 」という気分を高める
  • 食事など日々の生活の中のルーチンワークに結びつけることによって視聴時間を確保する
  • 録画でも、朝に深夜アニメはそぐわないしその逆もまた然り。エロとかグロとかも合わない状況が多い。昼は比較的ニュートラルになんでもいける
  • 一年以上の長寿作品は安定してくると長いこと視聴活動の柱になってくれる。でもそれだけで満足しちゃう恐れも……? 一度観て既に面白さを確信しているものは何度もリピートしちゃう。あとどうしてもキッズ向け、ファミリー向け優先になりがち
  • 目の前にあるアニメに集中する。俺の人生は残り少ないのに未視聴のアニメがこんなに……とか考えない。視聴すべき作品はいずれ視聴すべき機会が自然と訪れる


といった感じ。前クールは定番の「クレヨンしんちゃん」、1年物の「リルリルリフェアリル」「アイカツスターズ!」、続編の「ラブライブ!サンシャイン!!」に加えて「シドニアの騎士」「うる星やつら」などの放送終了した作品を視聴していた*2。というか「うる星」は今も観てる。TVシリーズだけで約200話あるし……。スローなアニオタライフを維持したままでは、本数はこれくらいが限界だろうか。もうちょいがんばりたい気持ちはある。


アニメ視聴を生活の中に組み込むに当たっては、家の中のどこでも*3アニメが観れることを可能にしたスマホが大分役に立ってくれた。生活に密着しすぎたことによって「クレしん」なんかはリアルタイムに家でメシ食いながら観るクレしんこそがクレしんで劇場版とか邪道! みたいなこじらせ方をしてしまった。当然過去作もチェックしてない。


スローアニオタライフの観点からの「あにトレ」


「あにトレ」が優しいのは、まず単純に尺の短さから来る気軽さだ。古来よりEテレの「味楽る! ミミカ」など、短編アニメは老いたアニオタのそれでもアニメを観たいという心の支えとなってきた。短くてもアニメを観続けられる自分を発見することでアニオタとしての自信が回復し、またより長いアニメを観るための弾みというかリズムを作ってくれる。近年はその分野の雄であるアース・スターが奇作良作をたくさん作ってくれてるのでありがたい。


sube4.hatenadiary.jp


縦方向のストーリーがないのは、続き物として次の回へのフックに欠けるとも言える。「あにトレ」のストーリー展開しなさ加減は、恐らく商業作品としてはトップクラスだろう。日常系批判をするような人たちがこの作品にはその刃を向けないのが不思議なくらいだ。けれどスローなアニオタ的には、「これだけストーリーがないなら1話見逃しても別に問題ないってことだよな」という点が気負いを緩めてくれる。これが新規放送を継続して観る上では重要で、逆に視聴を継続する意欲を高めてくれる。視聴者も一緒にトレーニングしながら観るという作品の性質上、必ずしも画面に集中する必要もなく、BGVとして最適だ。


そして何より、「あにトレ」が扱っているエクササイズは量は少なくとも毎日、決まった分をこつこつとやらなければ意味のないものだ。それはわたしが思い描く理想のスローアニオタライフと似ていて、彼女たちが頑張ってトレーニングしてるなら自分もアニメ観るか、という気にさせてくれる。


エクササイズって基本的に反復運動を繰り返すだけなので見せ方が問われるけど、手を変え品を変え場所を変え(電車の中で空気椅子って湘北バスケ部か!)、よくやっているように思う。3期、4期と続けたら、トレーニングのネタが尽きてやたらアクロバティック奴ばかりになる未来も見えなくはないけど、それはそれで。


*1:スタッフや制作会社などの繋がりは全くない

*2:エロアニメは別腹

*3:外では落ち着いてアニメ観られない人