周回遅れの諸々

90年代育ちのオタクです

2018-01-01から1年間の記事一覧

漫画版「オーフェン無謀編」 矢上裕が描き出すトトカンタ。それと大暮維人の「化物語」

いよいよ「オーフェン」新作アニメが現実のものとして迫ってきた。20年執着してきた原作の再アニメ化。しかも過去には一度(一度?)失望を味わった作品だ。怖くないわけがない。でも、今回のアニメ化を機に矢上裕の描く「オーフェン」が読めるだけでも僥倖…

「スレイヤーズ」のおさらい8 第二部に突入して何が変わったのか

sube4.hatenadiary.jpsube4.hatenadiary.jp 1995年、『スレイヤーズ9 ベゼルドの妖剣』が発売される。アニメから入った読者が初めて手にした原作最新刊である。本編第二部はこの巻からスタートした。メディアミックスが本格化し、作者は長者番付にランクイ…

ミステリー風の雰囲気アニメ「聖ルミナス女学院」 深夜アニメ黎明期の徒花 

sube4.hatenadiary.jpsube4.hatenadiary.jp 前回前々回と、「lain」と「ブギーポップ」について書いた。この二作は共に「トライアングルスタッフ」という会社が制作に関わっていたのだけど、もう一作、同社の制作で忘れられないのが「聖ルミナス女学院」だ。…

新作アニメも放送されるし、「ブギーポップ・ファントム」の話をします

「ブギーポップは笑わない Boogiepop Phantom」は「ブギーポップ」シリーズのアニメ第一作である。前回取り上げた「serial experiments lain」の二年後、2000年に放送された。 ブギーポップ/宮下藤花役は岩倉玲音と同じ清水香里。制作にも「lain」のトライ…

岩倉玲音が(レインが)(れいんが)(lainが)好き

インターネットがようやく普及しだした頃。常時接続すらまだまだまだおぼつかない時代に、今日のWebの――特にSNSのあり方を予言したアニメが「serial experiments lain」だ。物語は、「ワイヤード」と呼ばれるネットワークに覆われた近未来社会で、人々の繋が…

星野源と「スレイヤーズ」と宮崎勤についてのメモ

「ダ・ヴィンチ」最新号の星野源特集に、乙一が寄稿している。氏は星野のことを自分とは遠い文化圏の人間だと思っていたが、エッセイで「スレイヤーズ」や「ドラゴンマガジン」について触れているのを読んで、親近感を持つようになったという。 ダ・ヴィンチ…

キッズアニメを愛する「大きなお友達」はいかに在るべきか

キッズアニメは誰のもの? キッズアニメは子供に向けて作られている。これは大前提として納得できる。中には、これは「キッズアニメ」に当てはまるのか、放送時間などでは定義できない何かがあるのではないか――「ちっちゃな雪使いシュガー」とかね――という事…

満18歳になったら、国立国会図書館を利用しよう

夏コミ合わせで「秋田禎信1992-2018」という同人誌を制作するため、資料集めのために永田町の国会図書館に通いました。およそ日本で出版されたものでここに所蔵されてないものはない*1というくらいの所蔵数を誇る、日本最大の図書館です。公共図書館と違って…

「スレイヤーズ」おさらい7 同時代以降の作家たち 縄手冴木深沢中村あかほり秋田ろくご橘

sube4.hatenadiary.jpsube4.hatenadiary.jp 今回は、神坂一と同時代もしくはそれ以降にデビューした作家・作品について語る。 縄手秀幸「リュカオーン」 冴木忍「〈卵王子〉カイルロッドの苦難」他 深沢美潮「フォーチュン・クエスト」他 中村うさぎ「ゴクド…

「スレイヤーズ」おさらい6 短編全作品リストと、全35冊を読んだ雑感

sube4.hatenadiary.jpsube4.hatenadiary.jp 「スレイヤーズ」の短編「すぺしゃる」「すまっしゅ。」は、1989年から2011年にかけて発表され、現在単行本が全35巻が発売されています。これらを全て網羅したリストを見たいと思い、以下のような表を作ってみまし…

おさらい「スレイヤーズ」5 短編は結局終わったのか終わってないのか

sube4.hatenadiary.jpsube4.hatenadiary.jp 「スレイヤーズすぺしゃる」の第1回「白魔術都市の王子」は、1989年にドラゴンマガジンに掲載された。ファンタジア大賞準入選を果たした長編第1巻「スレイヤーズ!」発売に先んじて掲載されているので、実質的に神…

ハロウィンの夜、仮想Youtuberを探して渋谷をさまよった話

オタクの皆さん、ハロウィンはいかがお過ごしでしたでしょうか。ソシャゲのハロウィンイベントや限定ガチャに参加したり、アニメのハロウィン回を観たり、オタクなりのハロウィンの楽しみ方をしたっていう人もいらっしゃるのではないでしょうか。私はという…

おさらい「スレイヤーズ」4 限りない欲望(メディアミックス)の中に

sube4.hatenadiary.jpsube4.hatenadiary.jpsube4.hatenadiary.jp ここでは、「スレイヤーズ」の関連作品の中で印象に残ったものを紹介していく。 あらいずみるいによる漫画版「スレイヤーズ」 SFC版「スレイヤーズ」 TVアニメ一期「スレイヤーズ」 劇場版「…

「スレイヤーズ」おさらい 3 アニメとの比較~林原めぐみ、竜破斬(ドラグ・スレイブ)、卵は産まない、正義の仲良し四人組

第1回で、「スレイヤーズ」の特徴として取り上げられようなものが実は当時それほど新しいものでもなかったんじゃないか、という話をした。 sube4.hatenadiary.jpsube4.hatenadiary.jp そういう場で挙げられる「新しさ」がおおむね陽性の、笑える「スレイヤー…

『スレイヤーズ!』ファンタジア大賞準入選と、ファンタジーとしての評価 「スレイヤーズ」をおさらいする 2

sube4.hatenadiary.jp 長編第1巻『スレイヤーズ!』は、富士見書房が主催するファンタジア長編小説大賞の、記念すべき第一回準入選作*1である。この時の審査員は田中芳樹*2、岬兄悟、火浦功の三名。神坂一と、彼とともに長くレーベルを引っ張っていくことに…

「スレイヤーズ」をおさらいする 1990年当時「スレイヤーズ」は新しかったのか? それ以前の状況は?

「スレイヤーズ」は、元号が「昭和」から「平成」に変わった年に姿を現しました。著者はこれがデビュー作の神坂一。80-90年代にかけて本邦のアニメゲーム漫画界隈を席巻した「剣と魔法のファンタジー」の代表的作品の一つであり、現在の「ライトノベル」に直…

続・ゆりキャン△ 各務原桜と志摩リンの関係

アニメ「ゆるキャン」一期は、なでしこのソロキャンで幕を下ろした。原作でもその内やるだろうと原作者のあfろ先生が構想していたものを先取りした形だ。志摩リンのソロキャンに偶然居合わせたことでその楽しさを知ったなでしこが、今度は一人でキャンプに挑…

「TVアニメゆるキャン△ 公式ガイドブック 野外活動記録」を読んだ備忘録

声優、スタッフ、そしてほとんど表に出てこない原作のあfろ先生も含めて、対談やインタビューなど貴重な証言がたくさん掲載されてたので、覚書。 △ 佐々木睦美(キャラクターデザイン):動きでは育ちの良さを意識しました。ドリンクを飲むときも手を添える…

「推しが武道館行ってくれたら死ぬ」「バーフバリ」「Vtuber」で知った、誰かを一心に応援したいという気持ち

特定の何かを丸ごと愛するという経験をしたことがない。オタク物心ついた頃からそうだった。「エヴァ」も「スレイヤーズ」も「オーフェン」も絶頂級にハマっている最中でさえどこかしらに不満があり、twitterなりブログなりで感想を書く時触れずにはいられな…

響木アオwiki的なそうでないようなページ

last update:2019.05.07 響木アオとは 所属(もしくは参加) 関連人物 経歴 オリジナルソング リアルイベント TV・ラジオ出演等 インターネット番組 その他 他Vtuberとのコラボ インタビュー 各種リンク 響木アオとは アイドルを目指す女の子である。01月07…

リアルアイドルに楽曲提供するバーチャルアイドル 響木アオのオリジナルソング全12曲を紹介

9月24日。響木アオちゃんのavexメジャーデビューライブは、三連休の最終日に行われた。バーチャルyoutuberとして今年2月にデビューし、4月、TSUTAYA三軒茶屋店でのインストアライブを皮切りにリアルでのアイドル活動を開始。以降順調に回数を重ね、これが8回…

ラノベ系イラストレーターの大御所・いのまたむつみの40周年原画展に行ってきた

7月下旬、有楽町マルイで開かれたいのまたむつみ展に行ってきた。これは氏の画業40周年を記念してのもの。来場者の年齢層は比較的高めで、落ち着いて鑑賞することができた。 いのまたむつみは言うまでもなく、日本を代表するイラストレーターの一人だ。その…

最近のサンリオとオタクの四つ関係 μ'sの半数はピューロランドでイベント開催経験アリ?

都心の方に出ると、駅のホームでも街中でも必ず何かしらの二次元キャラを見かける。今や一般企業がアニメや漫画、ゲームとコラボしたり自ら製作に関与したりするのは珍しくなくなった。サンリオはキャラクターで食ってる会社だからして、一般企業とは言い難…

当ブログのSSL対応のお知らせ

当ブログは本日をもってSSLに対応しました。実は私もこの、えすえすえる……? というやつについてはよく分かってないのですが、なんか閲覧者の方の通信がより一層安全になる技術だそうです。対応しないとgoogleさんから怒られるのです。 分かり易い変更点とし…

三十代。文章系サークル、コミケ初参加、初同人誌。完売。うれしい。

sube4.hatenadiary.jp ひと月前、夏コミの二日目にサークル参加してきました。秋田禎信というデビュー25年を数えるベテラン作家の読本を頒布。目玉は全著作レビュー。お陰様で、家から持っていった分はめでたく完売。今夏は例年以上の暑さが続き、コミケはこ…

中村繪里子・響木アオ・石川英郎出演 「びばりば!! 井戸端会議 EP4」レポ

声優・中村繪里子さんによるラジオ番組「びばりば!」のイベントが開催されるということで、ちょっとお邪魔してきた。ところはお台場TFTホール。お目当てはゲストのバーチャルアイドル・響木アオちゃん。「びばりば」と同じ、ラジオ関西の「アニたま」枠に番…

「オーフェン」新シリーズの発端「あいつがそいつでこいつがそれで」10周年に寄せて

以下の文章は、筆者がコミックマーケット94で発行した同人誌「秋田禎信1992-2018」のために執筆したものです。ブログ掲載に当たり一部加筆修正をしています。 sube4.booth.pm 秋田禎信全著作レビューを書こうと思い立った時、ふと、「全」とはどこからどこま…

「文学少女」シリーズの野村美月は、エロゲ「仰せのままに☆ご主人様」のシナリオライター村中志帆だった

エロゲのシナリオライターとラノベ作家はそこまで遠い関係ではない、と思う。だから、自分が好きな作家が別名義でシナリオを担当したエロゲを知らず知らずのうちにプレイしてた、なんてこともまああるかもしれない。でも、そっち方面の数をさしてこなしてる…

森見登美彦原作「ペンギン・ハイウェイ」 負けるなハマモトさん

なんといっても、原作は森見作品の中で一番好きなのである。初めて読んだとき「これはぜひ映像化してほしい」と思った。それから7年か、8年か。森見氏の人気を考えると随分長くかかってしまったように思う。待望のアニメ化であった。 小説家・森見登美彦とい…

「秋田禎信1992-2018」BOOTHで通販開始しました! 第二版です。紙版購入者は無料でpdf版DL可

https://sube4.booth.pm/items/981386 「オーフェン」「エンジェル・ハウリング」「小説版血界戦線」などの代表作を持つ小説家の四半世紀を辿った評論? 本です。全著作レビュー、コラム、各種リストなどB5コピー本52ページ。本体価格350円、匿名配送料310円…