周回遅れの諸々

90年代育ちのオタクです

ハロウィンの夜、仮想Youtuberを探して渋谷をさまよった話

オタクの皆さん、ハロウィンはいかがお過ごしでしたでしょうか。ソシャゲのハロウィンイベントや限定ガチャに参加したり、アニメのハロウィン回を観たり、オタクなりのハロウィンの楽しみ方をしたっていう人もいらっしゃるのではないでしょうか。私はというと、推してるバーチャルyoutuberが大混雑の渋谷の様子を生中継するというので、観に行ってきました。推しの名前は響木アオちゃんといいます。


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「ハロウィンの渋谷に繰り出すので自己責任で観に来てほしい」。そうアオちゃんが告知したのは、10月30日。ハロウィン本番前日のこと。毎週水曜21時からYoutubeでやってる生放送の一環のようですが、この時点でそれ以外の詳細は不明でした。


アオちゃんはリアルイベントに積極的な子です。人一人がようやく映るくらいのリアル受肉用のディスプレイを抱えてどこへなりと駆けつけます。だからこの時点では、そんな風にいつもと同じような感じでゲリラライブでもやるのかと思ってました。渋谷のヤバそうな様子はニュースで観て知ってたので、どんな形式でやるのか分からないけど、いやだからこそアオちゃんが危ない目に遭ったりしないか、楽しみよりも不安のほうが大きかったですね。私の頭の中を、何故かプロ野球優勝チームのビールかけを現地レポートするアオちゃんの姿がよぎりました。


アオちゃんに会いに渋谷へ。しかしなかなか見つからず……


当日夜、渋谷へ。京王線の車内では既にそれらしい若者を発見。渋谷駅に着き、生放送開始一時間前でもどこで何をやるのか、詳細は分からないまま。アオちゃんのプロデューサーのかわもPマークシティ入り口からの現地画像をtwitterにあげていたけれど、土地勘がないのでどこの入り口かまで特定できません。なので、とりあえずその周辺を適当にぐるぐる。


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噂に聞いてた通りの大混雑ではありましたが、駅から109に至るまでの通りを抜けちゃえば立錐の余地もないってほどでもなかったかな……? まあ普通に平日でしたしね。インターネット上では元々日本にハロウィン文化なんかないのにこれだからウェーイ系は……的な批判が多いですが、本場*1である欧米圏の人もたくさん見かけました。


そうこうしてる内に21時になり、少し遅れて生放送が始まりました。スクランブル交差点に面した、マークシティ正面出口辺りで仮装してる人に街頭インタビューを行ってるようです。その頃正反対の方角にいた私は、イヤホンで生放送の音声を聞きながら急いでそちらに向かいます。しかし相手も動いてるし人混みで周囲が見通せないしで、なかなか見つかりません。生放送がちょくちょく途切れるのは私のスマホ(ドコモ系MVNO)の電波が弱いせいか生放送自体が止まってるのか。データ量の心配をしながらアオちゃんを探します。

アオちゃん発見!


……そういえば、アオちゃんのハッシュタグを覗けば、現地ファンの誰かが現在位置をtweetしてるんじゃないか? これに気づいた時、生放送開始から20分は経っていたでしょうか。検索してみたところ、やっぱりありました! 道玄坂の結構上の方まで行ってるようです。google MAPで検索し、おのぼりさん丸出しで辺りをキョロキョロ見回しながら進み、声をかけてくる人をスルーし……ようやく見つけました。

  • 魔女のコスプレに「#響木アオ」のタスキを掛け、生配信してるアオちゃんが映ってるタブレットを通行人に見せながらインタビューしてるかわもP。
  • タブレットに映るアオちゃんとお話する仮装した若者たち。
  • その様子をスマホカメラで撮影してアオちゃんに送ってると思しき、アシスタントのコアパンらしき男性。


アオちゃんの魂は、ホテルかどこかでこの様子を見ながら配信してるのでしょう。そして、それをやや距離を取って眺めながら、同じ光景を自分のスマホから生放送でもチェックしてるファンの人たち。みんな仕事帰りのサラリーマンのコスプレをしてました。そこに私も加わります。


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実際に現地でインタビューしてる様子と生配信を観て、こういう感じかな? と想像してみた今回の番組の構図です。


……改めて見てみるとアオちゃんの生中継というよりはかわもPが生中継で「スタジオのアオちゃ~ん」って呼びかけてる感もなくはないですが、アオちゃんは概念でありプロデューサーもスタッフも含めての響木アオなので問題ありません。これならアオちゃんの魂に危険はないしね。その分、かわもPとコアパンは大変ですが……(お疲れ様でした


インタビューを受けてくれる若者たちは、終始戸惑ってる人もいればノリノリの人もいて。でもバーチャルyoutuberという存在を知ってる人はほとんどいないようで。ネット上での盛り上がりとのギャップを感じました。同じように街頭インタビューしてる「めざましテレビ」?のスタッフにインタビューしようとアオちゃんがかわもPに無茶振りしたりといった場面も。楽しい放送だったのですが、なにせ周囲が騒がしかったので、配信の方だと音声をうまく拾えてなかったのが残念。


話は変わりますが、アオちゃんのイベントは、バズるため、基本的に撮影及びSNS投稿が自由で。アオちゃんが目の前にいるのに下向いてスマホをいじるファン、という光景を見ることができます。そんな様子を、アオちゃんはしばしば「現代社会の縮図だ……!」と評します。今回の、現地にいるかわもPとコアパンと、インタビューされる若者と、それを遠巻きに見ながらスマホで生放送をチェックしてる現地ファンと、どこかにいるアオちゃんと、配信を観てる現地勢と……。その間をあっちこっち絶えずデータが飛び交い、彼らはそれを送受信することによって、目の前にいる人や遠く離れた誰かともやりとりする。そんな距離感覚を喪失しそうな、諸々が混線してる光景はいつも以上に「現代社会の縮図」感があり、自分がどこに立っているか分からなくなりそうで、ちょっと頭がくらっとしました。

リアルとバーチャルの境界を攻めろ


思えば、私がアオちゃんの動画で一番好きなのは、アオちゃん*2がリアル戸越銀座を散歩する「アオ散歩」でした。この動画は最初と最後を除きほとんどアオちゃんの魂視点で進行し、視聴者はアオちゃんの姿を観ることは叶わず、ただ声だけで彼女が響木アオであると認識します。いつもより「響木アオ」としての露出は少ないのに、妙にドキドキさせられる動画でした*3


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バーチャルYoutuberの間でも、彼ら彼女らがいる場所はどこなのかという問題意識に対する姿勢は千差万別です。これはキャラクターの一貫性*4とはまた別の話でしょう。アオちゃんはキャラはあんまり崩さないほうですが――最近は渋谷系サイコパスウサギと言われるようになって色々剥がれてきましたが――リアルとバーチャルの境界線についてはガンガン攻めていきます。その境界線の揺らぎが、観てるこっちとしても何故か楽しく、クセになるのです。


私はアオちゃんのそういうところが好きなんだなあと、生放送を終えて最後に記念撮影してるアオちゃんを見ながら、そんなことを再認識したハロウィンでした。

*1:ケルト人由来のお祭りなので、真の本場っていうなら大分狭められますけど

*2:の魂

*3:続編希望!

*4:月ノ美兎が言うところの「これがバーチャルYouTuberなんだよなぁ...」というやつ