周回遅れの諸々

90年代育ちのオタクです

三十代。文章系サークル、コミケ初参加、初同人誌。完売。うれしい。

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ひと月前、夏コミの二日目にサークル参加してきました。秋田禎信というデビュー25年を数えるベテラン作家の読本を頒布。目玉は全著作レビュー。お陰様で、家から持っていった分はめでたく完売。今夏は例年以上の暑さが続き、コミケはこれ地獄なんじゃないかとヒヤヒヤしましたが、開催時期はやや過ごしやすくなっていて。皆さんのおかげでなんとか生きて帰ることができました。以下、次回からのために申込みからイベント終了後のアレコレまでを覚え書き。

参加申し込み~事前準備まで

コミケは一般参加、スタッフ参加(一度だけ)はしたことがあり、いつかサークルとしても出たいなあという漠然とした考えはありました。踏ん切りがついたのは、「声ヲタグランプリ」という声ヲタ系評論誌にお誘いいただき、二回ほど寄稿してから。これ楽しそうだなあ自分でもやってみようかなあという想いが強くなり、声ヲタグランプリを買いに行った冬コミで、申込書セットを購入。そのまま参加申し込みをしました。


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題材に秋田禎信を選んだのは、それなりに長い間インターネット上で氏の読者として活動してきて、こういう本なら興味を持ってくれる人がいるかな、というのと、今までに書いた感想をうまいことリサイクルできるかなという打算考えによるもの。代表作「オーフェン」の再アニメ化が決まったのは、申し込みをし終わってからでした。まあ近年の作品展開からアニメ化は時間の問題だろうみたいな空気はあったのですが……*1


申し込みが1月で夏コミは8月。5月までに、

  • 執筆にどれだけ時間がかかるか分からないし部数も読めないので、小回りが利くコピー本にする
  • 原稿は基本的に全部一人で執筆する。慣れない初参加で他人様に原稿を募っておいて落とすのは怖い
  • ただし表紙のイラスト・デザインだけは絵心がないので誰かに依頼する


といった辺りと、大まかな内容を決定。五月中旬くらいには、表紙のデザイン・イラスト担当と売り子を知人(一方はネットの、もう一方はリアルの)に依頼。ご快諾いただきました。あと文章系同人誌ってことで、参考のために文学フリマに一般参加したり。

原稿執筆とIndesignでの編集

本格的に執筆に入ったのは6月上旬に当落結果が出てから。普段ブログで文章を書いてるのでそれ自体に苦労はない……と思っていたのですが、辛かったのは、同じ同人誌に載せる同じ秋田作品という括りの中で書かれた自分の文章に飽きてくるということ。計30作品以上のレビューを書いてる途中、「これ絶対読む方も同じ調子の文章に飽きてくるよな……」という気持ちに負けない心が必要でした。代表作の「オーフェン」とどう違うか、という捉え方も多すぎた。それと、コラムとレビューで重複するような箇所をどうしたものかなあというのも悩みどころでした。それぞれ単体で成立するような文章を書こうとするとどうしても重複する部分は出てくるし、逆に一冊丸々読んで価値が出てくるようなものだと一つ一つの記事が言葉足らずな気がしてしまって……。


全著作レビューは後半に行くほど最近ブログで書いた文章をそのまま持ってきてる率が高くて、それらはまあ余裕がある時に書いたものなので、文章量が多くなりました。何を書いていいのか分からなくてあれもこれもと付け足した結果、推敲されてないともいう。「ハルコナ」とか説明しすぎたかなあという気持ちも。逆に初期作品や有名な作品は世間の評価が既にある程度固まってるので、今回はこのポイントだけ押さえてみよう、という書き方になってます。はぐれ旅旧シリーズだとオーフェンという主人公について、新シリーズだと世界そのものの移り変わりについて、とかね。


追い込み時期にはFire HD 8抱えて喫茶店に通ったりもしたけど、効果があったんだかなかったんだか……。移動中の電車の中とかなら結構スイスイ進むんですけどね。タブレットっていうのも、普段文字入力に使う機会があまりなかったので慣れてなくて。スマホのほうが早かったかも。


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編集作業にはadobeInDesignを使用。実は初めて触れるソフトでした。1ヶ月いくらの使用プランで契約しましたが、執筆が遅れに遅れて、実際に作業に使ったのは〇〇日くらいかな……*2。曲がりなりにも本としての体裁を整えることができた*3のは、声ヲタグランプリのレイアウトをパク……参考にしたからに他ならないでしょう。いやほんとすいません。でも技術力がないので完全な劣化コピーに。字下げや禁則処理は最後までうまく使いこなすことができませんでした。一応事前に参考書読んで勉強したりもしてたんだけど、やっぱり実際に触れてみないことには身につかないですね。ページ数の調整のため、余った誌面には、ある作品の聖地巡礼と称して八王子駅前の写真を載せたりしました。イベントの三日前に突然思い立って撮影しに行ったものです。ちょうど近所だったので……


他の人による校正は行いませんでした。校正を頼めるような人には当日に出来上がった本を読んでほしいという気持ちが邪魔をして、結局最後まで踏ん切りがつかなかったのです。スケジュールもカツカツだったし。まあでも結果的にはやっぱり必要でしたね、校正。

宣伝


さて、私のような初参加の人間にとって大切なのは宣伝だと聞きます。ですが、これもあまり実行できませんでした。執筆が遅れて「宣伝しまくったのに落としたらどうする……?」という怖さがあったからです。ただ、「秋田禎信作品総選挙」という人気投票的なものをtwitter上で行い、その結果を当日フリーペーパーで配布するということにして(翌日ネット上でも結果を公開しました)。これはたくさんの方に投票していただきました。


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あと「オーフェン」のタイトルを羅列した湯のみを作ってスペースに置いとくことに。こちらは印刷会社のグラフィックさんに依頼。一個1100円からとめちゃリーズナブル。ただし全面に印刷できるわけではありません。円周の2割くらいは真っ白です。逆に書くことが少なくても持て余しますけどね。スペースに来ていただいた先輩に「ダミアンの呪文とか合いそうだけどスペース余りそうだよね」ってゆわれて、それですよねーと。他にも背約者の各章タイトルとか色々考えたんですが、手が回りませんでした。

キンコーズでの印刷


原稿が一応の形になったのはコミケの前々日。印刷は近所のキンコーズで行うことに。コミケ真っ最中の金曜日……毎週金曜はコピーが安いということで、日が暮れるにつれてお客さんが増えていきました。多分みんなご同輩だったかと。確かキンコーズは24時間営業のところもあったと思いますが、そうでないところは閉店時間に注意した方がいいでしょう。それまでに印刷しきらない可能性があります。ここのコピー機はちょうど自動製本でホチキス留めまでやってくれ、設定さえ最初にちゃんとすれば完成したものが出てくるという優れもの。ただしデータの直接出力はできないので、店内のPCその他からデータをDLして原本を印刷する必要があります。私はセブンイレブンのマルチコピー機の印刷が綺麗だと聞いてたので、そちらで原本を作成しました。で、キンコーズはセルフコピーなので基本的には自分で設定などはするんですが、分からないところは従業員の方に聞いて……印刷ミスって数十枚単位で無駄にしつつ……最終的に全部刷るのに3時間くらいかかったのかな。表紙はそれ用の厚紙を使用するものの、イラスト担当してくださった方の滋味ある塗りがまるで出力できず……*4。イラストを人様に頼んでも印刷する本人がアレだとこうなるのね、という教訓を残し、店を出たのは21時近くでした。


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印刷の濃度をザップさんの肌の色で確認したりしました


その後も翌日に備えて色々と予定を立ててたんですが、あとは買い物するくらいで前日が終わってしまいました。会場で買いに来てくれた人に話しかけてもらった時、とっさに声がでやすいようにカラオケとかも行っときたかったのに。そして夜は夜で緊張して眠れず。修羅場とかじゃなくてただ眠れないだけってすごい損した気分になりますよね。そして、なんと真夜中に「オーフェン」新コミカライズの発表が! 漫画を担当するのは「エルフを狩る者たち」の矢上裕先生。これ突発ペーパー出すべきでは? と思いましたが、ネタが考えつきませんでした。せめて三日前なら……

コミケ当日!


当日は売り子の人と07時30分に現地集合。設営はすぐ済んでしまったので10時の開場まで大分時間が余ってしまったけど、初めてで何かアクシデントが起こるかもしれないってことを考えるとそのくらいのほうがいいのでしょう。サークル入場は0730~0900と時間が区切られてるし。で、当日の設営の反省点。

  • あの値札を立てかけるプラスチックの奴が見つからなかったので、テーブルに直接置く形に。これに限らず、スペースを立体的に見せる設営ができてなかった。
  • 裏表紙も見せる前提でデザインしていただいたのだけど、スペースがいっぱいで二面置きがなかなか難しかった。
  • ポスターはセブンイレブンのマルチコピー機でA3用紙に印刷したものをそのまま持ってきたやつ。厚紙でもないし、あの上部でポスターをパチンを固定するやつもつけてなかったし、なんというかだめだめ。
  • これまでの秋田作品を振り返るスライドショーをタブレットで流そうとしたけど、事あるごとに電源が落ちていた。画面が自分たちとは反対方向向いてたのでなかなか気づかなかった。


この辺りは「次」に活かしたい。……開場後、しばらくは暇でした。人が来てくれるようになったのは11時くらいからかな。そこから13時くらいまでがピークでした。机を共有してるほうのお隣が、同年代の仲良しタイトル「スレイヤーズ」のサークルさんだったので、その流れで見ていただける導線ができあがってたのがありがたかった。初参加でお誕生日席(だったのです)ってこれモロ緩衝材だ……! 大丈夫かな……と不安だったのですが、結果的には大成功。また購入していただいた方の中には総選挙に投票したよとおっしゃってくれる方がいて、短い間ながら言葉を交わすきっかけともなりました。中には差し入れしてくれる方も。こういうの都市伝説じゃなかったんだ……!


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……あれ? これ完売してしまうんじゃ? と思い始めたのは12時くらいだったかな。開場前は、万が一完売しても会場で増刷する気は皆無でした。だから原本も持ってきてなかったし。でも、購入してくれる方を目の当たりにしてるとむくむくとさらなる承認欲求が湧き上がってきて。テーブル共有してない方のお隣が朝イチ会場製本キメてたので、コピーセンターなら折までやってくれるよ、とか色々伺って。残り十部くらいになったところで決意。売り子に後を任せて増刷に。ただまあこれがあんましよくなかったのかな。教えてもらったコピーセンターではなく東ホール出てすぐのところでコピー機を見つけて。あまり歩き回るのも嫌だったのでそこで始めたんですが、まず原本をdropboxからDLするのにえらい時間がかかって(これは明らかに自分のせい)、ページ数も52Pあるし(これも自分のせい)、コピー機自体もそんなに作業速度が早いものではなく。二十部を刷るのに二時間くらいかかった気がします。そして製本も結局スペースに持ち帰って、折からやるという事態に。その節は売り子の友人にも偶然遊びに来てくれた先輩方にもお世話になりました。


その後は一応閉会までいてから撤収。新宿で身内と打ち上げしましたが、さすがにグロッキーで最後の方はうつらうつらしてました。イベント中はアドレナリンばりばりで元気だったんですけどね。

その後

翌日からは実家に帰省する合間を縫って事後作業。URLを間違えるという大ポカをやらかしてたことに気づいて凹んだり、感想をいただいて喜んだり、通販のために第二版を準備したり、添え状書いたり、ハンコ作ったり、まとめて発送手続きすると手間もかかりそうだし連日通いつめるのもアレなので、日によってコンビニを変えて小出しに発送したり。ひと月経って、ようやくコミケが終わったという実感が出てきたかなってところです。


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 秋田禎信1992-2018 - 周回遅れの諸々 - BOOTH(同人誌通販・ダウンロード)


まあ、とにかく私の無計画でズボラな性格というのが存分に発揮された初サークル参加だったなと。関係各所には大変ご迷惑をおかけしました……! 撤収した時、「次」はないだろうと思ったし、だから参加申込書セットも現地で買わなかったのに、気がついたら冬に申し込んでました。


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それだけ皆さんにお会いできて楽しかったのと、それとは別に悔いが残る部分が結構あったのと、冬休んで夏出て今度こそ猛暑日だったら耐えられるのか……? という思いと。色々です。ただ以前から構想は練ってた夏コミと比べるとほんとにノープランだし冬はスケジュールがよりタイトなので、どうなるかなあ……。ひょっとしたら皆さんにご協力いただくことがあるかもしれないので、その時はまたよろしくお願いしますm(_ _)m

*1:欲を言えば版元が国際展示場駅にどどーんとポスターを貼ってくれるとうちのサークル的になおよかった

*2:やばすぎて公表できない

*3:かな?

*4:本文でも色がきれいに印刷されてない部分はあったんですが、それに気づいたのはずいぶん後になってからでした