周回遅れの諸々

90年代育ちのオタクです

「ジュエルペット」シリーズ通算351+2話から選りすぐり……たかったep10選

昨年12月26日に放映された7期第39話「また会う日まで」で、TVアニメ「ジュエルペット」シリーズは6年と9ヶ月の歴史に幕を閉じました。全体の変遷と各シリーズの概要については、

 

  

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でまとめましたが、では実際個別回はどんなものであったのか。この記事では特に印象に残った10本を挙げることで振り返ってみたいと思います。最終回は特にそれまでの積み重ねあってのものという感が強いので、抜きで。
なおタイトルの+2はてぃんくる☆のOVAと、劇場版です。

 

 

てぃんくる☆ 第14話「ミリアの歌でドッキ☆ドキ!」

(脚本:池田眞美子、コンテ:福冨博 演出:菅原静貴、作監原由美子

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ミリアのママは世界中で人気の歌手。ミリアもママのような歌手になりたいと夢見ている。そのために日々努力しているミリアが、ついにオーディションに出ることになった。このオーディションはミリアのママが優勝したオーディションだ。ミリアは張り切っていた。ところが、待ち合わせ時間になってもママが来なくて・・・・・・。

仕事ばかりで親が構ってくれない子供が、過去にタイムリープすることで仕事のじゃまをしようとする。Aパートは、冒頭、テレビ画面に大写しのセリーヌさんを視聴者からふさぐようにフェードインしてくるミリア(この話で彼女の存在が母親の芸能活動の障害になってたかもしれないことを示唆?)、あかりちゃんの覚醒に反応して振り向くアルマまで流れるようなシークエンスに惚れ惚れ。変身シーンでBGMを専用のものに変えずそれまでのシーンから継続したものを使うことで緊迫感を切らないのもステキステキ。Bパートは、ミリア(竹達彩奈)の母親セリーヌさん(堀江由衣)無双。そして相棒のペットはガーネット(平野綾)とサンゴ(清水愛)というこの15年位の世代のアイドル声優勢揃い。1年、場合によってはそれ以上かけて新人声優の成長を実感できるキッズアニメは、声オタとしては必見です。このシリーズでは高森奈津美松嵜麗を輩出しました。

 


てぃんくる☆ 第49話「沙羅のピンチにドッキ☆ドキ!」

(脚本:島田満、コンテ:うえだひでひと、演出:徐恵眞、烏宏明、野道佳代、仁井宏隆、山崎正和

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準決勝を前に沙羅はある決意をしていた。勝てる可能性が無い相手に挑む理由は、大切な友達のため!

熱血百合。決勝で友達とぶつかる対戦相手の弱点を見つけるため、自分はあえて捨て石に。相手のボーイ・ミーツ・ガールがそうであるように、ガール・ミーツ・ガールが少年漫画的なストーリーを駆動させる。絶望を演出するBGMも、魔法のエフェクトも、沙羅を演じる片岡あづさの演技も、かっちょよくて最高でした


サンシャイン 第17話「無人島でサバイバル?イェイッ!」

(脚本:早坂律子、コンテ:大久保政雄、演出:安藤健、作監菅野智之、吉本拓二)

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林間学校に向かっていたルビーたちはラブラの魔法で無人島に飛ばされて散り散りになってしまった。絶海の孤島でルビーたちはサバイバルできるかな?

3期の中では比較的ネタ的な決め手に欠ける回ではあるんだけど、逆に1話丸々ノリだけで突っ切った胆力に敬意を評して。2期の「てぃんくる☆」では水着は大人の事情から一瞬だけしか許されなかったのに、3期では4週にわたってこの格好。自主規制って水物ですよね……

 

サンシャイン 第24話B「八木沼くんとイェイッ!」

(脚本:早坂律子、コンテ、演出:稲垣隆行、作監野田康行)

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なぞに満ちたクラスメイトの八木沼くんの実態が明らかに!? 八木沼くんの顔がいつにも増してリアルなのはどうして?

実写映像のキャラをアニメの中にはめ込む、あるいはその逆というEテレ感あふるる回。実は3期唯一の、監督がコンテ演出両方を担当した回でもあったり。次に紹介する25話とは正反対に、この回のためだけに注ぎ込まれたであろう労力とストーリーの無意味さのギャップが熱い。

 

サンシャイン 第25話「雨にうたえばイェイッ!」

(脚本:杉原研二、コンテ:平田智浩、演出:安藤健、作監菅野智之、吉本拓二)

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スターを目指してオーディションに挑戦するガーネット。でも、きびしい審査の壁を突破できずにいた。そんな時、イケメンアイドルスターのジュエルペット・ディアンと出会い・・・・・・。まさかの、恋の予感!?

芽が出ない仕事と報われない恋愛が喰らい合うガーネットというお話に、映画「フラッシュダンス」の本気過ぎて笑えない(いい意味で)パロディ。作画のがんばりも最高潮で、まず間違いなく「ジュエルペット」シリーズ最高傑作の一本。でもガーさんが泣くハーモニー風のカットは3回PANしてほしかった。こう、生理的に。

 

きら☆デコッ! 第16話「トキメキセンパイデコ?!」

(脚本:ふでやすかずゆき、コンテ:佐藤まさふみ、演出:石踊宏作監松本勝次)

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ガーネットを中心に女子たちは恋愛トークで盛り上がっていた。ところがぴんくの様子がおかしい。どうやらぴんくは恋愛で辛い経験があるようだ。そして、辛い思い出にとらわれたぴんくにコールの魔手が……。コールにヤミ魔法をかけられたぴんくはいつの間にか地元大宮駅西口に立っていて、かつてぴんくを容赦なくフッた、超イケメンで手脚の長いモデル体型なセンパイとお似合いの超スタイリッシュカップルになっちゃった!?

マイメロ」時代から続く、イケメンなんていじっていじっていじり尽くしてなんぼじゃい!という森脇真琴監督の心意気が最大限に発揮された回。

 

ハッピネス 第9話「うらないプリン〜!」

(脚本:桜井弘明、コンテ:稲垣隆行、演出:荻原露光、作監松本勝次)

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今日も占いで運勢が良くないちあり。ルビーはちありのためにジュエルペット友達の占い師を紹介することにした。彼女の名前はペリドット。職を転々として、最近占い師になったばかりらしい。だがしかし、公園で営業しているペリドットの占いは当たらないと評判で、お客さんが全く入っていないのだ!

タイトルにその名を冠するペットたちは、もちろん商業面でもストーリー面でもシリーズの主役です。しかし一方彼らはサンリオ公式からして「魔法使い=人間の弟子/ペット」という設定が付与されています。ハローキティマイメロディと違って、人間との関わりは外せない存在意義であり(たとえ原作で人間が登場しないにしても)、アニメにおいても両者の心の交流がストーリーの主軸となっていました。ハッピネスは特に他のシリーズと違って特定のパートナー同士に限らないゲスト/モブキャラとペットとの触れ合いがたくさん描かれていて、(一見すると)聞き分けのない子どもの我がままに最後まで付き合ったこの回は、それがよく現れていたと思います。あと2期で主役のあかりちゃんを演じた高森奈津美による幼女・あやめちゃんの頑是無さが絶妙でした。

 

ハッピネス 第29話「欲しがりすぎはダメなのね~!」

(脚本:高橋ナツコ、コンテ、演出:森脇真琴作監野田康行、竹内旭)

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まりえは魔法の宝石を欲しがるのを止めることにした。まりえが成長したとルビーとちありは喜ぶが、実は、裏があった。まりえは欲を捨てれば、欲しいものが手に入る、花咲かじいさん作戦を実行していたのだ。

作中でのヨゴレポジションから、3期の主人公花音様の血を引く者と言われたまりえちゃんの、キャラクターとしてのポテンシャル(具体的には顔芸)だけで持たせた回。のばらちゃんまりえちゃんむっちゃんのトリオは大好きでした。花音さま小町かえでと比べてもう少しお互い対等な感じ。


マジカルチェンジ 第21話B「ルビーとルビー」

(脚本:山口宏、コンテ:誌村宏明、演出:南川達馬、作画監督:木下由美子、飯嶋友里恵、関根千奈未)

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“なんかすごいジュエルポッド”を手に、だらけているルビー。そのルビーの元に謎の電話がかかってきた…。電話主はカボチャや石ころ、そしてルビー!?

歴代ルビーとのクロスオーバー。ペットの設定は毎年必ずリセットされ、パートナーの人間キャラは完全に一新されるというシリーズの縛りを活かした回。長年このシリーズを観てきたファンへのご褒美……と見せかけてもうひと捻りくわえてくる脚本の妙。2、3、7期はわりとジュヴナイルSFネタが見られましたが、わたしはこの回が一番好きです。SFマガジンさん、特集組みません?


マジカルチェンジ 第34話B「ハロー、夢のハリウッドでーす!」

(脚本:山口宏、コンテ:中島太貫、演出:渡辺正彦、作監:上野卓志、藤田正幸)

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ペリドットがハリウッド映画のオーディションを受けることに。主演女優の座を射止める事は出来るのか!?

一部に大人気の映画「マッドマックス」のパロディ。この話より頭のネジが飛んでる回はたくさんある。でも、この話ほど観終わった時脱力した回はない。3クールあればこんな無駄な(いい意味で)回も許されるんだ、という象徴のような。なおこの34話は二本立てでタイトルになってる方はBパートだったのだけれど、一見関係のない話であるAパート「オルヴォワール、ローラ」にも関連したネタが含まれてたり。7期はそういう無関係なはずのAパートとBパートで何らかの繋がりがあることが多かったですね。

 

また会う日まで

 

一番最後まで入れるかどうか迷ったのは、マジカルチェンジ第16話「フエルペットでナンバーワン!」。ペットの自己同一性を取り扱ったSFで、かなりの怪作であることは間違いないのですが(ペットとしてもサフィーが一番好きだし)、怪作すぎて自分でもストーリーを咀嚼しきれていないものをここに挙げるのもどうかと思い、今回は見送りました。またハッピネスはお気に入りのシリーズではあるのですが、その中からどれかを選ぶには各話シリアス/ギャグやテンションの落差がなくて、とっかかりのない面もあり、選定には悩みました。そこが好きではあるんですけどね。

 

で、ここまで読んでくださった皆さんの中には薄々感づいてる方もいらっしゃるでしょうが、実は私、全話を完走したわけではありません。一応、全シリーズ触れてはいますが、観てない回もわりとあります。タイトル詐欺まがいのことをしてごめんなさい。我こそは、と思う人は真の「351+2話から選りすぐったep10選」を書いてくだされば幸いです。というか書きましょう。

 

 

……考えてみたら、「351」って放送回数であって、AパートBパートそれぞれ別の話だった場合、話数はもっと増えるんだよな。