周回遅れの諸々

90年代にオタクとしての青春を過ごした人のブログです

ラノベ

加賀香子はだよもん星人かわいい 「ゴールデンタイム」の狂騒じみた大学生活

「とらドラ!」で有名な竹宮ゆゆこの「ゴールデンタイム」(外伝含め全11巻)は、ラノベでは珍しい大学生ものだ。 晴れて大学に合格し上京してきた多田万里。大学デビュー、東京デビュー、一人暮らしデビュー、と初めてのことづくしで浮足立つ彼は、入学式当…

ラノベ作家ストレイドッグス 夢枕菊地氷室新井神坂秋田古橋秋山ヤマグチ桑島

※タイトルに特に意味はありません。 ラノベ作家は、かつての文豪のように異能バトルしたりはしない。けれど、同じ時代に活躍し、人気が拮抗していたり、代表作のジャンルが同じだったりすると、ペンで競い合うことはある。また本人たちにその気がなくとも、…

素人童貞の胸を打つおっぱいゲーム青春小説 土橋真二郎「OP-TICKET GAME」 

GWが終わった。社会人1年目の男性陣は、連休中に旧友と会って、どうだっただろうか。何か、学生時代と変わったところは見受けられただろうか。 ……例えば、以前は下ネタなんて全くの無反応だったあの人が、平然とお水のお姉ちゃんの話をするようになっていた…

大ベテランに今風美少女が書けないなんて誰が決めた 秋田禎信「巡ル結魂者」

「俺もさ、異世界だって考えてたからかな……騒ぎを起こして実験観察なんて、まともな人間の発想じゃないよ。やるべきじゃなかったよな」 巡ル結魂者 異世界へ召喚された人間には、異邦人であるからこそ、出来ることがある。本作の主人公カズトも、その立場に…

猫に説教される底辺ラノベ作家(33)~心にしみる私小説「先生とそのお布団」、カクヨムで公開中

角川が小説投稿サイト「カクヨム」を立ち上げて、約二ヶ月が経過した。オープン初日にプロ作家であるろくごまるにが、角川(富士見書房)の編集上の不手際を糾弾する文章をあげてから*1、一時はすっかりそういった作品の発表の場として人気を得てしまった感…

野村美月「SとSの不埒な同盟」 「俺の嫁」持ち同士のオタカップルの幸せ 

​上のように書いたけれど、「SとSの不埒な同盟」(全2巻)の主人公もヒロインも別にオタクじゃない。この作品は、好きな人がそれぞれ別にいて、お互いの恋の成就のために同盟を結んだ男女が段々と惹かれあっていくという、大まかなあらすじだけ聞けば「と…

とあるラノベ世代が読んだ平井和正 「月光魔術團」「超革中」「ボヘミアンガラス.st」「幻魔大戦」

SF作家・平井和正(1938-2015)が亡くなってから一年以上が経つ。それまで近いようで遠かった作家だったけれど、訃報を機に幾つかの作品を読了した。 唯一、狭義のラノベレーベルから刊行された「月光魔術團」 これは逝去より随分前の話だけど、わたしが最初…

NHK大河ドラマ化が似合いそうなファンタジー女四代記 上遠野浩平『無傷姫事件』

使命感から、あるいはもっと個人的な理由から、何か大きな物事に立ち向かう女の子というのは、どうしてもこうもわたしたちの心を揺さぶるんだろうか。 継承。つながれていったのは力か夢か幻か――魔導世界でも類を見ない、兵数と武装に頼らない軍事国家。その…

三木一馬が電撃文庫を離れて始めた「出版エージェント」、その先達

「とある魔術の禁書目録」「俺の妹がこんなに可愛いわけがない」「ソードアート・オンライン」「魔法科高校の劣等生」などを担当した有名編集者で電撃文庫編集長の三木一馬氏がAMWを退職し、新しく会社を立ち上げたそうです。社名を「ストレートエッジ」とい…

野球が全てのアラビア風ファンタジーハレム 石川博品『後宮楽園球場』

2013年、新潮社の日本ファンタジーノベル大賞が惜しまれつつも休止を発表した。 www.shinchosha.co.jp 本作を読んでその第1回大賞受賞作である酒見賢一『後宮小説』を連想したのは、恐らくはそんなタイミングと、わたし自身の知見不足もあってのことだろう。…

「グリムガル」作者・十文字青を生んだ、ダークファンタジー大好きスニーカー文庫

「灰と幻想のグリムガル」の原作者・十文字青は、自分の作風をライトノベル業界の中で主流ではないと常々公言している。それどころか支流ですらないそうだ。これはなにも「最近のラノベ」がどうこうという話ではなく、デビュー当時からほぼ一貫してそういう…

当時17歳の著者による和風ファンタジーの怪作が復刊 秋田禎信『ひとつ火の粉の雪の中』

第3回ファンタジア長編小説大賞準入選にして、応募当時17歳だった著者のデビュー作が、新潮文庫nexから復刊された。1992年刊行の旧版は、現在電子書籍として配信されている。 ひとつ火の粉の雪の中<ひとつ火の粉の雪の中> (富士見ファンタジア文庫) 作者: 秋…

真面目系クズの心をえぐる甘々学生夫婦生活 石川博品『アクマノツマ』

この「アクマノツマ」は、恐らくは太宰の「ヴィヨンの妻」のオマージュでもあろう*1、駄目人間主人公と天使のような悪魔兼女子高生という夫婦の、8割方甘々な日常を描いた小説だ。商業作家である石川博品が同人作品として発表したものだが、現在はkindleで…

「ブギーポップ」シリーズの今後 織機綺リターンズ VSスプーキー・E Part4

「ブギーポップ」シリーズで有名な上遠野浩平の小説は、「ジョジョ」などのノベライズを除いて、全作品の世界が――その関わり方は大小様々であるが――繋がっているのが特徴だ。大半の作品はストーリーとしては単巻で完結しているけれど、作中における役割を一…

児童文学風ラノベのひとつの完成形 野村美月「ドレスな僕がやんごとなき方々の家庭教師様な件」

同著者の「吸血鬼」シリーズは打ち切りとなってしまったようだが、こちらは全8巻で円満に完結した。最終巻は丸々一冊後日談。あとがきにあった「このシリーズはむしろ番外編こそが本編」という頼もしいお言葉通り、主要登場人物は勿論、なつかしのあのキャラ…

「スレイヤーズ」がラノベにもたらした何か 秋田禎信、橘公司他『スレイヤーズ25周年あんそろじー』

ライトノベルの生ける伝説である神坂一「スレイヤーズ」は、2000年に本編が完結した後も外伝のほうはしばらく続いていたが、それも2011年に発売された『スレイヤーズすまっしゅ。5 恋せよオトメ』で一旦終了してしまい、以降原作に目立った動きはない。本書…

電子化に当たり10年前のイラストを描き直し 秋田禎信・つたえゆず『シャンク!! ザ・ロードストーリー』

ライトノベルの多くは、雑誌連載を経ておらず、単行本に直接書き下ろす形をとっている(最近はなろう連載経由も多いけど……)。これはどういうことかというと、連載漫画やTVアニメのような単行本化/ビデオグラム化に当たり加筆修正する機会が、一回減るとい…

釣り竿とテグスとお菓子で彼女を釣ろう 吉村夜『キミにもできる! 女の子一本釣りマニュアル』

ごく普通の公立高校に進学したフツメンこと富津浦信司は、なっちゃんこと桜木なつきに恋をした。でも今まで女の子とつきあった試しはない……。そこでフツメンは親友のイケメンこと池田祐樹に相談した。いわく、彼女を作りたいなら釣りに限るとのこと。そうと…

女子校に対する幻想とか現実とかどうでもよくなる一冊 石川博品『四人制姉妹百合物帳』

有名なお嬢様学校――閖村学園高校には“サロン”と呼ばれる友愛組織が存在する。そこに集う生徒たちは姉妹のように睦み合う。 御厨杜理子、佐用島紗智、時岡有希奈ら上級生をメンバーとし、「森」の図書館の一室でひっそりと活動している高踏的サロン「百合種(…

麻生俊平の近況(2016) 『ホワイト・ファング』『捜査班』、そして『和泉貴理子』

麻生俊平という作家を知っているだろうか。ライトノベル業界では珍しく社会派と評判の小説家だ。代表作の「ザンヤルマの剣士」(1993-1997)はオウム事件の直前に新興宗教のマインドコントロールを取り上げたり、終盤がエヴァの方の人類補完計画を髣髴とさせ…

ロボが本気出す時翼を広げるという浪漫 秋田禎信『メックタイタンガジェット 虐殺機イクシアント』

宮龍院シアは、かつて革命を起こして政権を手に入れた解放労働党の英雄である祖父を持つ超的な名家・宮龍院家の一人娘。宮龍院家はおよそ50年にわたって国を牛耳ってきたが、カリスマである祖父が病に倒れ、お家は危機的状況に陥っていた。また長らく戦争を…

15年越しの決着がついた、とあるラノベの公式カップリング問題 「魔術士オーフェン」の場合

​やおい方面にも人気があるアニメ「おそ松さん」のノベライズが集英社から刊行されるらしい。 小説おそ松さん 前松 缶バッジ付き限定版 (仮) (JUMP j BOOKS) 作者: 赤塚不二夫,三津留ゆう,浅野直之 出版社/メーカー: 集英社 発売日: 2016/07/29 メディア: 新…

秋田禎信お仕事情報(随時更新)

Update:2017.10.21 シリーズ刊行or連載中 「魔術士オーフェンはぐれ旅」新シリーズ/第4部文庫化(TO文庫) TO BOOKSで展開された全10巻を文庫化。毎月刊行中。 「魔術士オーフェンはぐれ旅」再コミカライズ 第1巻「我が呼び声に応えよ獣」から、連(むら…