周回遅れの諸々

90年代にオタクとしての青春を過ごした人のブログです

ラノベ以外の小説

夢枕獏『空手道ビジネスマンクラス練馬支部』 趣味としての格闘技入門

夢枕獏といえば、エンタメ系の押しも押されぬ人気作家である。代表作は、男たちがひたすら殴り合う格闘小説「餓狼伝」、エロスとバイオレンスの伝奇小説「サイコダイバー」、安倍晴明を主人公とする「陰陽師」、エヴェレスト登山を描いた「神々の山嶺」など…

「泣き虫弱虫諸葛孔明」完結! 虚実を自在に行き来する作家、酒見賢一

この小説ともエッセイともつかない本に興味が湧いたのは、おすすめのライトノベルを語る企画で、複数人がタイトルを挙げてたから。孔明を始めとする奇想天外な登場人物、アニメやプロレスなどのパロディを無造作にぶっこんでくる作風。別冊文藝春秋連載で、…

アニメ「うる星やつら」感想あるいは森見登美彦がガチの押井守信者だった話

去年の秋から、「うる星やつら」をつまみ食い視聴してた。言わずと知れた高橋留美子原作、「平凡な*1主人公のもとにある日突然美少女が降ってきて……」というハーレムタイプのラブコメのご先祖様となる作品。TVアニメでは2年目、劇場版は2作目まで「パトレ…

映画「夜は短し歩けよ乙女」 あなたの新生活にも「ご縁」がありますように

森見登美彦原作のアニメ映画「夜は短し歩けよ乙女」を、初日に観てきた。劇場は「極爆上映」「爆音上映」と名付けた音響に対するこだわりが有名な立川シネマシティ、の極爆爆音関係ないシネマワンの方*1。監督は、同作者の「四畳半神話大系」のTVアニメも作…

『攻殻機動隊小説アンソロジー』 「原作」はどこから来てどこへ行く?

ハリウッド版の実写映画が公開! っつーことで、色んな関連本が出版されている「攻殻機動隊」。本作はその小説アンソロジーである。SF、純文学、ラノベ、漫画原作者と色んな方面から集められた五人の作家がそれぞれの「攻殻」世界を描く。 円城塔「Shadow.ne…

森見登美彦『夜行』  京都を抜けるとそこは京都であった

デビューから10年以上が経過した森見登美彦の最新作は『夜行』。『きつねのはなし』にも通じる、じっとりと湿った怪談風味のファンタジーだ。 僕らは誰も彼女のことを忘れられなかった。 私たち六人は、京都で学生時代を過ごした仲間だった。 十年前、鞍馬の…

「サクラダリセット」「階段島」河野裕講演会 in 中央大学白門祭 レポ

11月4日に中央大学の学園祭「白門祭」にて開催された、河野裕先生の講演会に行ってきた。中央大学にお邪魔するのは、3年前に米澤穂信先生の講演会に参加して以来だ。って、そういえばあれも文学会さん主催のイベントか。いつもお世話になってます。 正式名称…

とあるラノベ世代が読んだ平井和正 「月光魔術團」「超革中」「ボヘミアンガラス.st」「幻魔大戦」

SF作家・平井和正(1938-2015)が亡くなってから一年以上が経つ。それまで近いようで遠かった作家だったけれど、訃報を機に幾つかの作品を読了した。 唯一、狭義のラノベレーベルから刊行された「月光魔術團」 これは逝去より随分前の話だけど、わたしが最初…

ほんの少しだけ優しいマーガレット・ミラー 『雪の墓標』『悪意の糸』

ロス・マクドナルドの妻としても有名なサスペンス小説家のマーガレット・ミラー(1915-1994)は、わたしが愛読している数少ない、というかほぼ唯一の海外作家だ。元々は「魔術士オーフェン」の秋田禎信が影響を受けたということで読みだしたのだけれど、文体…

ヤマト世代の四十代の十年間 那須正幹「ズッコケ中年三人組」シリーズ完結

「ズッコケ中年三人組」は、那須正幹による人気児童文学シリーズ「ズッコケ三人組」の続編だ。約25年、全50巻に渡って書き継がれてきた旧シリーズが完結した翌2005年に刊行開始。年1冊ペースで執筆され、2015年、11冊目の『ズッコケ熟年三人組』で改めて完結…

水木しげる風の有名文学要約本 ドリヤス工場『有名すぎる文学作品をだいたい10ページくらいのマンガで読む。』

忙しい現代人のため、恥ずかしくて今さら人には聞けないあなたに、といった謳い文句ですっかり出版ジャンルとして定着した感のある有名作品要約本。web漫画サイト「トーチweb」で連載中の本作もそれに乗っかったものだが、ちょっと変わっているのは水木しげ…

日常系R18小説「今日は昨日、明日は今日」(ノクターンノベルズ)

知人が結婚した。と言っても、現実に存在する知人ではない。R18小説サイト・ノクターンノベ ルズ(現ミッドナイトノベルズ)で連載されている、「今日は明日、明日は今日」の主人公のことだ。 novel18.syosetu.com 作品紹介では、 金で買い取った少女に奉仕…