周回遅れの諸々

90年代育ちのオタクです

ゆりキャン△の行間と斉藤恵那と後方彼女ヅラ

アニメ「ゆるキャン△」が放映終了してもう2ヶ月以上経つ。今更だけれど、予想を超える素晴らしい最終回だった。いや、ほんとよかった。


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本題とはあんまり関係ないアニメ最終回の話


この作品はみんなでやるキャンプもソロのキャンプもどちらも肯定するもので。原作ではクリキャンの後、正月にソロキャンを敢行したリンちゃんが「やっぱりソロキャンも好きだ、私」と吐露するシーンがあるんだけど、アニメはどうもそこまで辿り着かなさそうだ、って途中から薄々感づいてたんですよね。クリキャンで終了となると「ソロキャン一筋だったリンちゃんがみんなでキャンプする楽しさに目覚める」というありきたりなストーリーに回収されてしまわないか、ということが不安だった。だからといって、クリキャンは最大の山場だからそれを削ってまで、というのはどうかと思うし……。


ラス前までは楽しませてくれたから、最終回が多少アレでもしょうがないかな、という諦観めいた気持ちも正直あった。それが、ねえ、奥さん、アレですよ!


リンちゃんはみんなでやるキャンプの、なでしこはソロキャンの楽しさをそれぞれ分かち合う。ホントにテーマを大切にするなら、最後に二人が遭遇せず、五話ラストのように「空で繋がっている」エンドでも、と思わなくもなかったけれど……考えてみればリンちゃん、ソロキャンつーても色んな人と出会ってるんですよね。山ガールのお姉さんとか、キャンプ場の管理人の人とか。ソロキャンは彼らに支えられて成立してる。原作コミックス1巻の描き下ろしで薪を拾ってるリンちゃんを見守る管理人さん、最初は、え、なにそれこわっ!って思ったんだけど、実は、リンちゃんの快適なソロキャンは他の誰かによって支えられている、という描写でもあるんだよなー。リンちゃん、デキる彼氏のように見えて、ソロキャンが基本なのでよく下調べもせず行動して失敗して、それをなでしこにフォローされてたりするし。


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地味にいい味出してる、旅先で出会うor家族の男性陣


旅してて本当に一人になるっていうのは、人跡未踏の地にでも行かない限り不可能なんだと思う。身一つで見知らぬ人と出会うっていうのもソロキャンの魅力で、最終回はたまたまそれがなでしこだったってだけなのかもしれない。

からかい上手の斉藤さん


リンちゃんとなでしこたち野クルを取り持ったのが、斉藤恵那さんだ。いつもにこにこ笑ってて、何かと謎が多いキャラではある。


帰宅部で、リンちゃんとは中学時代からの知り合いだそうで、キャンプ中も頻繁にLINEでやりとりしてる。ちくわというチワワを飼ってる。よく眠る。キャンプ道具4万5千円を、「アウトドアは色々と勉強になるから」とポンと出してくれる*1お父さんがいる。視聴者からは担当声優の高橋李依繋がりから「からかい上手の斉藤さん」なんてゆわれてた。二話でリンがここでソロキャンしてるよーとなでしこに教えたことに始まり、彼女のなでリンへの貢献度は半端ない。最終回直前のニコ生では、キャストからその行動の的確さを「人生何度目だよ」と評されてた。


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悪い百合オタクの間では、斉藤さんはリンちゃんの元カノポジションに就いてる。あれだけパーソナルスペースを大切にしてるリンちゃんの髪をいじって、リンちゃんも「やめろよ」って言いつつなんだかんだ受け入れてるんだから、そりゃ妄想も捗るってものではある。放課後の図書室に二人っきり*2というシチュからしてもう! LINEでのやりとりも、基本的に優しいなでしこに対するそれと違って、双方親密が故の雑さが感じられる。恵那リンの心得(幻想)を手に入れた私がアニメOPを視聴すると、なでしこがリンちゃんの手を握った後ろで斉藤さんがちくわをぎゅって抱きしめてるのを観ても色々考えてしまうよね。悪い百合オタクは今でもリンちゃんに未練が残っている斉藤さんの心情を勝手に想像し、勝手につらくなる。

服部ユウちゃんの後方見守りヅラ


どうも私は後方見守りヅラのキャラに惹かれるっぽい。「けいおん!」の真鍋和ちゃん、それから「アイカツ!」の服部ユウちゃんもそれに当たる。



服部ユウちゃんはアイドル学校に通う主人公・大空あかりのルームメイトとして、77話から登場する。特にこれといったエピソードもないサブキャラだったけど、*3人気自体は高かった。それが、102話で部屋が雨漏りしたということで、別室に。ルームメイトの座を新レギュラーの氷上スミレに取られてしまう。118話からは交換留学ということで学園そのものから姿を消してしまった。そのまま物語からもフェードアウトすると思われたが、156話「YOU!GO!KYOTO!!」でいきなり主役エピソードに抜擢される。制作サイドが彼女の人気に応えてくれた形だ。久しぶりに登場した彼女は、交換留学を重ねるうちに旅番組に引っ張りだこの「旅アイドル」として大成していた。彼女が交換留学を決意したのは、がんばる大空あかりに触発されたからという―― 。


明らかに後づけのこの回はしかしとてもよくできてて、ユウちゃんのファンは見事に浄化させられた。


……見守りポジションは王道だけど、友人に置いていかれた気がして寂しさを募らせるのもいい。新しい仲間に嫉妬するのもアリだろう。奮起して彼女と同じ道を歩もうとするのはお約束だし、ユウちゃんのように別の方面で大成を目指すのもまたエモい。メタ的には違った視点から見た主人公を描写できるし、主要キャラと関係を持ちながら、しかし別のところで生きる彼女たちの存在は、作品世界をより広く見せてもくれる

再び、斉藤さんと野クルの話

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私の中に住む悪い百合オタクが編み上げたゆりキャン相関図


作中では斉藤さんは一歩引いたポジションを保っている。「なぜ志摩リンとなでしこ(野クル)の仲をああも取り持とうとするのか」「なぜクリキャンを経験してキャンプへの興味を持ち始めた後も野クルへの加入を拒むのか」……多分、これといった理由はないんだろう。そういった言動をするに至った背景には恵那リンの関係性、斉藤恵那というパーソナリティーっていうのが確実にある。ただし作中では、はっきりとは開陳されない。それが私達を惹きつける。


とはいえ、アニメのキービジュアルなどにも顔を出してる斉藤さんは、ユウちゃんたちのようなサブキャラとは言い難い。この作品は最初に述べた通り多様な価値観を許容するものだ。野外活動サークル通称「野クル」が一応の主軸である部活物、ということになるのだろうけど、志摩リンも斉藤さんもいまだに正式加入してないし、加入してなくともキャンプには行く。キービジュの五人が揃ったのは今のところクリキャンだけだ。……そんな流動的な関係の中では、主要キャラだサブキャラだといった括りはあまり意味を成さないのかも知れない。


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一つの場ではなく互いのパーソナルスペースを尊重し合う関係では、必然、他人に明かさない心情がクローズアップされる。「行間」と言い換えてもいい。「ゆるキャン」ではしばしばそれを読者に問うような場面が見られる。以下は悪い百合オタクが行間を好き勝手に妄想したもの。読み飛ばしてもらっても大丈夫です。

  • 各務原なでしこ、コミュ力高いというよりテンション上がって突っ走ってしまう自分、甘えんぼな自分を自覚してるからこそ、踏み込みすぎたと思った時は素直に一歩引くことを自分に課しているように思う。それをコミュ力高いというのかもしれないけど。野クルの部室を初めて訪れた時とかいきなりグビ姉の写真を撮った時とか結構暴走しがち。そして、だからこそリンちゃんに嫌な顔された後反省して、その上でさらに餃子鍋で攻勢に出るのが強いなあって思う。用事があって図書館にいるリンちゃんに会いに行ったのに斉藤さんと話している場に入っていけなかったとか、引っ込み思案なところも。
  • リンちゃんは桜さんとかお茶のお姉さんとか年上好きだよねってファンの間では半ば冗談でゆってたのが、リンちゃん役東山奈央さんの「唯一、なでしこのお姉さんに会うときだけは『かっこいい、憧れのお姉さん』みたいな感じで接していたので、声は少しうわずった感じにしていました」というコメントによって現実味を帯びて。さらにきららフォワード本誌ではリンちゃんが旅先で桜さんに偶然出会うというエピソードを展開してて、我々はあfろ先生の掌の上で踊らされている。年上に可愛がられそうなリンちゃんが悪い。フラレナオン同盟のなでしこと斉藤さんは泣いてる
  • 最初の頃のリンちゃんは何故大垣千明を苦手に思ってたのか。それ以前に野クルと接触したことがあったのか。そういえばイヌ子はキャンプ雑誌を借りてきてたから、図書委員のリンちゃんとその時に会話したとか? でもああいう雑誌って学校の図書館に普通に置いてあるのかな。ぶちょーとイヌ子がリクエストしたのかしら
  • アヤちゃん、本人がいない間になでしこのおばあちゃんの家に上がり込んでるって、家族ぐるみの付き合いなんだろうけど、桜さんとの関係はどうだったんだろう。今でも「いっぱい食べてるなでしこが好きだった」と言って憚らないアヤちゃんと、食っちゃ寝してる豚野郎にキレてダイエットさせた桜さんと。
  • ふと思ったんだけど……アヤちゃんって、なでしこの手料理食べたことあるのかな……? ひょっとしてないのでは……? 勧められるままに食べるなでしこ、そんななでしこが好きだったアヤちゃん、食っちゃ寝してる妹に切れた桜さん。これらからは、「自分で作って自分で食べる」浜松時代のなでしこが想像できないのです……あの料理スキルが一朝一夕で身につくものとは思えないけど。中学時代の回想で食べてるのもコンビニかスーパーカー購買で買ったと思しきものばっかりだし……。正月の郵便バイトの時は自分の分は自分で作ってきてるけど。
  • 「誰かの作ったものを食べさせてもらうだけじゃない。わたしも誰かに自分の作ったものを食べてもらいたかったんだ」というなでしこを、美味しそうに「食べる」なでしこが好きだったアヤちゃんは拒絶しそれで二人の仲が悪くなったわけではないけど結局アヤちゃんは手料理を食べないまま引越しの日を迎え
  • 土岐綾乃、考えてみたら久し振りに幼馴染に会えるかと思ったら、二、三日前になって彼氏同伴(しかもお泊まり)って言い出されて、しかもそれがなでしこを冬キャンとかいうわけわからんことに付き合わせてる噂のアイツだっていうじゃないですかそう考えると


……長々と妄想を垂れ流してしまった。何が言いたいかというと、斉藤さんは闇なんか抱えてない。作中の他の人物や私たちと何ら変わるところがない、他人に見せない自分を心の隅っこに飼ってるただの人間なんだ。我々悪い百合オタクはその辺りを考慮しなければならない。……だからこそ、より一層つらいのかもね。


*1:ただし正月には犬用のテントがほしいからとバイトをしているので無制限に甘いわけではないらしい。それとも斉藤さんのほうが自分で金を稼いでキャンプ道具を買った他の面子に触発されたのか

*2:よく見ると他の人もいるけど、逆に人の目があるところであんなイチャイチャしてるのか……

*3:この手のサブキャラの常として

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