2016-03-01から1ヶ月間の記事一覧
「灰と幻想のグリムガル」の原作者・十文字青は、自分の作風をライトノベル業界の中で主流ではないと常々公言している。それどころか支流ですらないそうだ。これはなにも「最近のラノベ」がどうこうという話ではなく、デビュー当時からほぼ一貫してそういう…
第3回ファンタジア長編小説大賞準入選にして、応募当時17歳だった著者のデビュー作が、新潮文庫nexから復刊された。1992年刊行の旧版は、現在電子書籍として配信されている。 ひとつ火の粉の雪の中<ひとつ火の粉の雪の中> (富士見ファンタジア文庫) 作者: 秋…
この「アクマノツマ」は、恐らくは太宰の「ヴィヨンの妻」のオマージュでもあろう*1、駄目人間主人公と天使のような悪魔兼女子高生という夫婦の、8割方甘々な日常を描いた小説だ。商業作家である石川博品が同人作品として発表したものだが、現在はkindleで…
ロス・マクドナルドの妻としても有名なサスペンス小説家のマーガレット・ミラー(1915-1994)は、わたしが愛読している数少ない、というかほぼ唯一の海外作家だ。元々は「魔術士オーフェン」の秋田禎信が影響を受けたということで読みだしたのだけれど、文体…
「ブギーポップ」シリーズで有名な上遠野浩平の小説は、「ジョジョ」などのノベライズを除いて、全作品の世界が――その関わり方は大小様々であるが――繋がっているのが特徴だ。大半の作品はストーリーとしては単巻で完結しているけれど、作中における役割を一…
同著者の「吸血鬼」シリーズは打ち切りとなってしまったようだが、こちらは全8巻で円満に完結した。最終巻は丸々一冊後日談。あとがきにあった「このシリーズはむしろ番外編こそが本編」という頼もしいお言葉通り、主要登場人物は勿論、なつかしのあのキャラ…
「ズッコケ中年三人組」は、那須正幹による人気児童文学シリーズ「ズッコケ三人組」の続編だ。約25年、全50巻に渡って書き継がれてきた旧シリーズが完結した翌2005年に刊行開始。年1冊ペースで執筆され、2015年、11冊目の『ズッコケ熟年三人組』で改めて完結…
ライトノベルの生ける伝説である神坂一「スレイヤーズ」は、2000年に本編が完結した後も外伝のほうはしばらく続いていたが、それも2011年に発売された『スレイヤーズすまっしゅ。5 恋せよオトメ』で一旦終了してしまい、以降原作に目立った動きはない。本書…
忙しい現代人のため、恥ずかしくて今さら人には聞けないあなたに、といった謳い文句ですっかり出版ジャンルとして定着した感のある有名作品要約本。web漫画サイト「トーチweb」で連載中の本作もそれに乗っかったものだが、ちょっと変わっているのは水木しげ…