周回遅れの諸々

90年代育ちのオタクです

好きな作家とそのファンと好きな作家のフォロワーの関係

オタクを多少なりとも長くやってると、昔から好きだった作家に影響されたデビューした作家に遭遇することがある。最近では好きな作家のフォロワーのそのまたフォロワー、なんてのも珍しくなくなってきた。


秋田禎信の読者である私にとっては、「サクラダリセット」「いなくなれ、群青」の河野裕先生なんかは秋田フォロワーの代表格である。「エンジェル・ハウリング」が好きで「サクラダリセット」のイラストを椎名優先生にお願いしたり、「小説家になろう」に「エンハウ」をイメージしたSSを投下したり。「オーフェン」「エンハウ」だけならまだしも「閉鎖のシステム」や近作である「ハルコナ」までもインタビューで熱く語ることができるのが現役のガチ信者感あって安心できる。リスペクトを公言し、好きな作者と対談したりアンソロに参加したりアニメに出演したりする作家や声優に対して「でもこの人、今も追っかけてるのかな……」と考えてしまうのは私の悪い癖だ。

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Vtuber響木アオトークライブ「みんなと語りあいたい」レポート

前回のライブのレポは、物販売り切れてたチェキできた人羨ましい俺もアオちゃんとチェキ撮りたいコールも今度は完全にしていきたいし2ndライブはよ! という魂の叫びで終わった。


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でも、まさか一ヶ月もしない内にその機会が訪れるとは思わなかったよね。今回の開催告知は1stライブ(4月21日)の余韻冷めやらぬ4月28日。詳細発表とチケット予約開始は5月9日。で、イベントは5月14日(月)開催! ほんと、Vtuber界隈の時の流れは早い……


場所は新宿のTSUTAYAブックアパートメント。前回に引き続きのTSUTAYAさんお世話になります。とはいってもここは普通の本屋とはちょっと違って、本を軸にした「くつろぎの空間」を謳ってるそうだ。今話題のコワーキングスペース*1やカフェ、さらにはシャワールームなども併設されてて、シャレオツな「都会のオアシス」って感じ。デキる人が仕事帰りに寄っていきそう。


*1:ノマド的な人が集う場所?

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Vtuber響木アオ 1stライブ TSUTAYA三軒茶屋店の中心でまほうの鏡号を叫んだオタク

バーチャルyoutuber響木アオちゃんのリアル1stライブ「みんなと響きあいたい」行ってきました! 控えめに言って、これは大成功なのでは。正直アオちゃんの集客力をナメてた……ごめんよアオちゃん

響木アオちゃんとは


アオちゃんは、ぼっちネタと語彙力の無さと不純と時折垣間見える関西弁ニュアンスと、あとモデリングがカワイイofカワイイのがウリのVtuber。2月14日にデビューした。コツコツ毎日更新してきて、4月21日ライブ当日の登録者数は1万8000くらい。初手の自己紹介動画がAVの面接パロという飛び道具で、それ自体はインパクトがあったものの、以降は本人? も認めてる通り、ちょっと伸び悩んでる感じというか、Vtuberバブルのこの時代、存在感が希薄なのは否めず……。


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だから、ライブが発表された時、不安8割期待は2割くらいでした。ただでさえVtuberのリアルライブ自体まだ前例が少ないし、発表が開催の二週間前って予定つかない人多そうだし、アオちゃん本人はすっげえ楽しみにしてるけど時期尚早じゃないかと思ったので……(後方参謀ヅラ)

300人が集ったTSUTAYA三軒茶屋店。クセになる物販の歌

大幅な変更を余儀なくされたスケジュール


ところが、ですよ! 当日の21日(土)、物販が始まる14時に行ってみたら、そこには既に長蛇の列が! 私が並んだ時点で既に1000円以上購入でもらえるチェキ券はなくなったとのことでした。それでも当初50枚を予定してたのが100枚に増刷したっぽい。ああ……これはチェキできなくて悔しい涙じゃない、アオちゃんが大人気で嬉しい涙なんだ……

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僕たちの好きな魔術士オーフェンを他作品にこじつけて語る

ハイブリッド・ファンタジー」。これは、旧シリーズ刊行当時公式で使われてた「オーフェン」のアオリ文句だ。多分、蒸気機関やガス灯が実用化されてる一方で「ドラゴン種族」が依然として存在するような世界設定のことを指して言ってるんだろう。それ以外にも「オーフェン」は、色んな要素を掛け合わせた作品だった。


  • 目つきが悪く暴力的で皮肉っぽく、でもナイーブな主人公
  • アクが強く人間くさいキャラクターたちと、生っぽい女性像
  • 妄想を刺激してやまない、拡張し続ける世界設定
  • ハッタリ満載の泥臭いアクションシーン
  • 翻訳小説に影響を受けた、アフォリズムを多用する文章
  • ガンダム」のような思想と思想のぶつかり合い
  • 日常系残念ラブコメドタバタギャグな外伝
  • 学園FTな前日譚
  • アナログな塗りの質感がたまらない、躍動感のあるイラスト
  • 終わりに

目つきが悪く暴力的で皮肉っぽく、でもナイーブな主人公



まず、主人公であるオーフェンは金貸しを営んでいる青年だ。目つきが悪く、行動は暴力的、物言いは皮肉げ。はっきり言ってヤクザそのもので、人生の裏街道を爆進中。作者の秋田が「血界戦線」の小説を手がけた際、ザップを主人公に採用したと聞いてみんな納得してしまうのは、オーフェンがそういうキャラだから。


そんな彼も、かつては魔術士養成学校《牙の塔》で将来を嘱望された凄腕の魔術士だった。今でもその辺りを突かれると意外に脆いという、ナイーヴな一面も。作者曰く、すごくキツく絞られたエルメスのスカーフイラストレーターの草河遊也からは「女々しい奴」とまで言われる始末。


上条さんよろしく性差廃絶主義者(フェミニストを自称し女相手でも容赦なく殴り蹴ると公言するものの、女難のケがあり、年上の女にはいいように利用され、年下には振り回されている。作中のみならず現実にも女性人気は高く、恋愛めいた話は本編ではほとんどやらないのに彼とくっつくのは誰かカップリング論争も盛んだった。エリート街道から脱落したのも姉のように慕っていた女性が原因だ。秋田はハードボイルド小説が好きで、何人かの登場人物の名前ロス・マクドナルドマーガレット・ミラーといった作家の著作の登場人物から取られている。そんなハードボイルドな中年探偵のような過去とは裏腹に、年相応に青くさいところも残っていて、はぐれ旅の第一部は彼が過去と対峙する青春小説という読み方もあった。


暗殺者としての過去を持ち殺人を忌避するヒーローとして同時代の「るろうに剣心」や「スプリガン」、少年少女がオーフェンという保護者を見上げるパーティー構成には「銀魂」「DTB」なんかとも相似を見いだす人もいるようだ。自分が20歳という年齢を超えた時、オーフェンがあまりに大人であることに驚く人もいる。初期のキャラクター造形は「ドラゴンランス戦記」のレイストリンをモデルにしているという。


作者のモットー(?)を体現し、話のラストには血まみれで佇んでいることが多い。第二部以降は精神的に揺らぐことが少なくなり、作品のテーゼを体現した存在となっていく。

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桂正和「電影少女」が性の目覚めでした

80年代後半~90年代前半に小学生だった私は、「週刊少年ジャンプ」に対してちょっと大人向けというイメージを持ってた。


不良物の「ろくでなしBLUES」、不気味な絵柄の「ジョジョ」、サスペンスホラーの「アウターゾーン」……。いずれも、まだ自分には早いような気がして、ドキドキしながらページをめくるか、怖くて読み飛ばしたりしてた。それ以外にも「幽遊白書」とか「スラムダンク」とか大メジャーな作品でも、一つ上の男を感じたり……。まあ小学生にとって中高生ってだけで大人~! って感じがするので、そんなもんかもしれない。


大人向けというと欠かせないのがエロ。エロといえばジャンプ連載作品で忘れがたい漫画が二つある。その一つが、桂正和の「電影少女」だ。

時代背景

恋愛に臆病な高校生・弄内洋太(もてうちようた)。片想いの相手が自分の親友を好きなことを知り落ち込む洋太は、その帰り道に奇妙なレンタルビデオ店“GOKURAKU”に入った。彼がそこで借りたビデオを再生すると突然、実物の女の子がテレビから飛び出してきた!!


連載開始は1989年。当時爆発的に普及し始めていたVHS対応のビデオデッキというガジェットが時代を感じさせる。一人暮らししてるのも、当時のトレンディドラマに出てきそうなリビング吹き抜けのデザイナーズハウスだった。後半登場する男性のダンサーはtrfにいそう。


集英社文庫版。ビデオテープだけをどーんと配置して看板の美少女が影も形もない思い切った装丁


……それ以外は、荒唐無稽かつありきたりなあらすじだ。これだけではちっとも惹かれない。当時の目で見ても、設定に新奇性があったわけではなかった。

女の子にかけるこだわり


桂のリアリティ溢れる絵のタッチは、しかしその荒唐無稽な導入を、ひょっとしたら高校に入学すれば、東京に行けば自分にも起こるかもしれない、そんな目と鼻の出来事として私達の前に描き出す。単行本2巻の折込部分では、次のように語っている。

読み切りのビデオガールの頃から、絵を壊すことを、始めました。自分のキャラクターのルックスにあきたからです。マンガの女の子より実際の女の子のほうがカワイイと感じてるボクは、できるだけ人間の顔に近づけたくなったんです。壊したばかりでぜんぜん満足いく顔が描けずに四苦八苦です。


ヒロインのあいちゃんが画面から飛び出してくるシーンは、まさに二次元から三次元の世界に飛び出してきたみたいだった……と言ったら言いすぎかもしれない。「リアル」なだけならば大友克洋がいる。リアルな女体というと、山本直樹なんかも思い浮かぶ。むしろ桂正和の描くキャラクターは、三次元の良さを抽出してうまく二次元に落とし込んでいるところに魅力があるように思う。特に女の子のお尻については、定評がある。


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初期の代表作「ウィングマン」最終回(85年)と「電影少女」第一回(89年)


肉と骨と皮があって、そこにいるのはどうしようもなく二次元の存在なんだけど、偏執的に描き込まれた女の子からは、それが絵であっても体温、肌触りが伝わってくる。まだまだ「女性」を知らない小学生だった読者にとっては((今も知らない)、ある意味、三次元以上のリアリティが感じられた。


三次元の良さ、と言ったけれど、必要であれば三次元の「悪さ」を描くことに対しても桂は躊躇しない。終盤、あいちゃんが街の路地裏で野宿している場面では、都会におけるそういった場所の汚さ、何日もお風呂に入ってない人間の臭さが漂ってくるようだ。同じ恋愛物の「D.N.A2」はかなりギャグに寄せてるんだけど、それでも、緊張するとおならしてしまうヒロインなんていうのを「色物」としてではなく、そういう悩みを持った一人の女の子として描いてる。そこがジャンプの美少女漫画家として桂とともに名前が上がる、「ToLOVEる」の矢吹健太朗との違いだろう。

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