徳間書店がオタク文化にもたらしたもの
とか、誰か書いてくれないかなあと常々思ってる。
読売出身のカリスマ経営者・徳間康快が一代で急成長させ、かつては
そらまあ、アニメージュはまだまだ強かったし、故徳間社長が製作総指揮のメガホン取って邦画の興行記録を塗り替えた「もののけ姫」は97年だし、傘下の大映が作った特撮「平成ガメラ」なんかもあったけど。
それらは、徳間が、というよりそれぞれの部署が頑張ってたようなイメージが強くて。角川が傘下である中経出版の学習参考書の表紙その他に、自分のところの漫画やアニメを起用するような、ある意味節操なく出版社一丸となってオタク産業を推してくみたいな感じはあんましなかったなあっていうか。
今回の買収報道でも、大体が「
逆に一部アニオタの人なんかは、あれだけ版図の広い角川帝国を「カドカワ」で一緒くたにし過ぎだ。電撃も富士見もファミ通もMFも全部別物だ! とまあ、ラノベオタとしての私は思うんですけど。
ラノベ、といえばラノベ世代の若い人(というのはまさに私の世代なんですけど)にSFを売ろうとした徳間デュアル文庫は、かっこよくて好きだったな。折り返しの左上下端が鋭角に切り取られてるのがステキ。単行本なんかでもたまに見かけるけど。上遠野浩平の「ナイト・ウォッチ」シリーズの何狙ってるんだか分からないけどインパクトはある扉のフォントとか、Macで加工しました!って感じの実写画像とか中澤一登とか、ハイセンス! って感じで。
徳間書店だけどアニメージュじゃなくてソニー・マガジンズのAXって感じ。……多分ハヤカワのトールサイズはデュアル文庫を参考にしちゃったんではないか
……徳間の編集者でもあった*3大塚英志は、「角川がオタク方面に進出するたびに徳間から人材を引き抜いてった」と著書で述べている*4。
大塚英志の評論って周囲の人を取り上げたものが多くて、それこそ私小説っぽくない?
また現角川の偉い人である井上伸一郎は、「角川は徳間の捨てたコンテンツをビジネス化した」と評したそうだ。私は角川にオタクとして育てられた人なので、その前史としての徳間を知りたくて、評伝「飲水思源」を読んだけど、オタク関連のトピックはあんまし参考にならなかった。
sai-zen-sen.jpsube4.hatenadiary.jp
ジブリはディズニーや日テレと組み、銀英伝は作家個人のマネジメント事務所「らいとすたっふ」が各種版権を持ち、大映は角川に吸収合併され、当の徳間はああなった。買収報道で世間を賑わしている今こそ、その辺りの突っ込んだ話を聞きたいところだ。
そういえば今年の「SFが読みたい!」でですね、伊藤京一の『バイオームNEXT(仮)』が徳間から出るって書いてあったんですけどちゃんと出るのこれ? 特に知名度高いわけでもない、10年沈黙してた作家のデビュー作の続編って時点で既に夢でも見ているような気分だったんですけど、ほんとに夢になったりしない? 「バード・ハート・ビート」の帯のキャッチは今でも好きな帯ベスト10くらいには入るんですよ? いや内容も面白いんですよ、なお。巨大な鳥に乗って空を飛ぶ少年を主人公にしたボーイ・ミーツ・ガール。