「バーナード嬢曰く。」と「俺ガイル」 自意識あるあるの幻
アニメ化に乗って、以前から気になっていた「バーナード嬢曰く。」を読んでいた。kindle unlimitedのラインナップに入ってたし。そしたらなんだか「俺ガイル」を連想してしまっていた。
読書家の自意識
読むとなんだか読書欲が高まる“名著礼賛”ギャグ! 本を読まずに読んだコトにしたいグータラ読書家“バーナード嬢”と、読書好きな友人たちが図書室で過ごすブンガクな日々──。 『聖書』『平家物語』『銃・病原菌・鉄』『夏への扉』『舟を編む』『フェルマーの最終定理』……古今東西あらゆる本への愛と、「読書家あるある」に満ちた“名著礼賛”ギャグがここに誕生!!
「ド嬢」こと町田さわ子は、かっこいい頭良さそうという理由で読書家キャラに憧れているけど、本を読むこと自体はめんどくさい。読書家として相応にこじらせてる友人・神林にオススメしてもらって色々読んではいる。この「オススメされたものはとりあえず読んでみる」というのは重要で、だから神林みたいなキャラが寄ってくるわけではある。けれど、それ以上に読書家キャラとしての「仕草」「自意識」のほうを先回りして勉強する日々だ。
十中八九作者の人は意識してないだろうけど、同じくさわしおの当て馬読書家の友人である遠藤くんは「周富徳なつかしー」とかゆってて、あれ、あの人がバラエティ番組出まくってた頃、遠藤くんいくつ……? と思ってしまい。これも自分が生まれてない時代をなつかしーとかゆっちゃうアレゲな自意識なのかなあとか感じたりもした。あるいは、登場人物たちは実はみんなアラサーの読書会仲間なんだけど「学校の図書室で読書仲間と語り合う」という長年の夢を実現するため高校生のコスプレしてる、というような脳内設定。
閑話休題。自意識あるある先行型、ということで連想したのが、「やはり俺の青春ラブコメが間違っている。」の主人公、比企谷八幡だ。「ド嬢」が自意識あるあるを笑いに昇華してそれでもふとした瞬間こっちを刺してくるのに対し、「俺ガイル」はわりと真っ向から刺してくるようなところがある。
ジャンル:サンリオアニメのはじまり「おねがいマイメロディ」
サンリオ原作の人気キャラクター「マイメロディ」を主人公にしたアニメ「おねがいマイメロディ」も、放映開始から11年が経過した。今、ちょうど全208話を収録したBD-BOXなどが発売されている。ので語る。
アイキャッチでいつもマイメロを見守っていたサンリオのドン・キティさん。本編には未登場
2005年当時の朝アニメの状況
そもそも朝のアニメ特撮とゆえば、昔から*1東映の魔女っ子戦隊物ライダーなどを擁する「
「マイメロ」は、2005年に生誕30周年記念のTVアニメとしてスタート。関東ではテレ東日曜09時30分から。前番組は朝日小学生新聞連載の「
*1:いつ?
榊一郎「ドラゴンズ・ウィル」「棄てプリ」そして「ストジャ」 生粋の「軽小説屋」に覚えた同時代意識
ひとつのジャンルに多少なりとも長く留まっていると、
「スレイヤーズ」の最初のアニメ(1995)からライトノベルを本格的に読み始めたわたしにとって、1998年デビューの榊一郎はそういう存在だった*2。他ジャンルでは、和月伸宏や黒田洋介が自分の中で同じカテゴリに入っている。
続きを読む次世代の主人公とたてまつられる人間は、こっけいだねえ!
- 「ドラゴンボール」孫悟飯 息子はセルにやられてる
- 「ラブライブ!」亜里沙と雪穂 妹コンビはどこいった
- 「MAJOR」茂野いずみ 姉はここにいる
- 「アイカツ!」北大路さくら 取り残された後輩
- 「魔術士オーフェン」マジク・リン 弟子は結局帰ってきた
「ドラゴンボール」孫悟飯 息子はセルにやられてる
「ドラゴンボール」でセル編が終了してから数年後、大きく成長した悟飯が都会の学校に通い出した頃の話が好きだった。冴えない転校生が実はかつて地球を救ったこともある戦士で、日常生活でも力をセーブしなきゃいけないんだけど、ついやり過ぎてしまって……という設定にボンクラ魂を惹かれた。しかし、人気がなかったのか、元々その予定だったのか、物語はすぐに天下一武道会からの魔人ブウ編に入ってしまい、主人公としての悟飯の影も薄れていった。まああのままグレートサイヤマンを続けてても発展性がなかった気はする。
シリーズ物の世代を跨いだ主人公交代劇は難しい、とはよくゆわれる。なんだかんだゆって読者は旧主人公に愛着を持って作品についてきた人が多いだろうし、交代に当たって作品の変質は免れないし、逆に変わらないなら主人公を交代する意味がない。これに新主人公がシリーズ途中からの新加入キャラで旧主人公に対してやたら噛みついてきて作者からは優遇されていて(いるように読者には見えて)、なんていうのが加わるともう、旧主人公がやたらヘイトを溜めてでもいないと積みである。
悟飯については、人造人間との戦いで片腕を失い、トランクスの師匠ポジとなっている未来悟飯がかっこよかった。というかあの未来トランクス編自体のシリアスなトーンが最高だった。トランクスというキャラクターはフリーザを真っ二つにした初登場時から成功が約束されたようなもので、アニメ独自の続編「GT」ではチビ悟空、パンと共に冒険する主要キャラに選ばれている。悟空と違って社会的な意味でも良き父である悟飯の姿は、そこにはない。
それでも悟飯は一度は主人公の座に就いた。一方で、続編ではこいつら主役の話が見たいとファンから言われたりしながらも、さらに下の代にその座を奪われた、谷間の世代ともゆえるキャラクターっていうのもいる。
秋田禎信とかいうコラボ・ノベライズ大好きおじさん エロゲから国民的漫画まで
昨日、「VS.こち亀」の話をした。オーフェンとこち亀って接点皆無じゃないですか!? と驚いた人も多かったようだけど、実は秋田禎信という作家は、この10年くらい、意外なところでの原作つきの仕事やコラボに積極的に関わっている。昔に比べればネームバリューのある作家のノベライズというのはぐっと増えたし、例えば西尾維新辺りもかなり多いんだけど、秋田の場合全体の執筆量の中でのノベライズ・コラボの比率がめっちゃ高い。
ノベライズという仕事の魅力、本質について、秋田はこんなことを言っている。
ノベライズって、いつもの仕事よりほんの少しだけ孤独でないからか、なんか不思議なテンションになる気がするのです。なので実は、ノベライズ好きなのです。わたし。
— 秋田禎信 (@AkitaYoshinobu) 2015年5月11日
@Bubles_withK そうですねー。ノベライズって、元になる世界やキャラが頭の外にいる感じで、書いてるわたしにも楽しい経験でした。
— 秋田禎信 (@AkitaYoshinobu) 2015年5月30日
そんな話ばっかりしてても伝わらないので… そういや血界戦線を通してわたしが1番好きなコマっていうのがあって、話を見失いそうな時はそのコマ見直してました。それが「鰓呼吸ブルース」の、早速プリントアウトしようっていうコマなんですが。
— 秋田禎信 (@AkitaYoshinobu) 2016年4月3日
ここがね、血界戦線がなにかっていうのを示してるコマって信じてるのですよ。何故かはあんま言語化できないんですが…それじゃ余計伝わらないか。まあ単にこのエピソードが好きってだけな気もしますけど。そんな「好き」がなんなのかを纏めるのがノベライズって作業かなと思ってます。(あっ纏めた)
— 秋田禎信 (@AkitaYoshinobu) 2016年4月3日
では、実際に関わった作品はどんなものがあるだろうか。ちょっと長くなるけど勘弁して付き合ってほしい。
- 神坂一との合作「スレイヤーズVSオーフェン」(2001)
- 読者参加企画「スペル・ブレイク・トリガー!」(2003)
- きゆづきさとこ原作「パノのもっとみに冒険」(2006)
- 士郎正宗・Production I.G.原作「RD 潜脳調査室 Redeemable Dream」(2008)
- 舞城王太郎原作「魔界探偵冥王星O ホーマーのH」(2010)
- ニトロプラス原作「愛しい香奈枝さんの装甲悪鬼村」(2010)
- 岸啓介キャラクター原案?「ハンターダーク」(2011)
- 神坂一との競作「メックタイタン ガジェット 虐殺機イクシアント」(2013)
- 神坂一原作「ゼフィーリアの悪魔」(2015)
- 内藤泰弘原作「血界戦線 オンリー・ア・ペイパームーン」(2015)
- わたしにとって好きな作家の書くノベライズとは