ここが「魔法陣グルグル」ヒロイン総選挙会場だ! 25年経っても通用する可愛さ
先日、以下のような文章を書いた。でも、まだ語ってないことはたくさんある。
漫画「魔法陣グルグル」に登場する女の子はみんな可愛い。衛藤のメルヘン趣味、少女漫画趣味、サブカル風ロリコン趣味、その他諸々が詰まってる。でも、ククリのヒロイン力が強すぎるあまり、他のキャラが話題になることは少ないような気がする。以下では、そんな彼女たちにスポットライトを当ててみたい。計三回のアニメ化で彼女たちを演じた声優も書いといた。
- ククリ(1、2:吉田古奈美 3:小原好美)
- レナ(1:井上喜久子 2:栗田ひづる 3:恒松あゆみ)
- エナ(1:萩原果林、3:長久友紀)
- ミグ(1:こおろぎさとみ 3:本渡楓)
- グリエル(1:氷上恭子、増田ゆき 3:久保ユリカ)
- エクールちゃん(18)(1:遠藤勝代 3:高橋未奈美)
- ルンルン(1、2:松井菜桜子 3:大西沙織)
- ジュジュ(1:天野由梨 2:荒木香恵 3:大地葉)
- チュール(1:伊藤美紀 3:洲崎綾)
- チクリ魔(1,2:西村ちなみ 3:和多田美咲)
- なべやき姫(2:永田亮子 3:田村ゆかり)
- レピア(2:並木のり子 3:春野杏)
- トマ(1、2:神代知衣 3:藤井ゆきよ)
- ナナコナ(2:前川優子 3:釘宮理恵)
- スエラちゃん? (2:木内レイコ 3:佐藤聡美)
- ピピックとペペック(2:西村ちなみ・荒木香恵 3: 久保田梨沙・小澤亜李)
- クルジェ(3:本多真梨子)
- 「フィーの法則」三人娘
- メルシイ(3:津田美波)
- プラナノ(3:浅野真澄)
- ミウチャ(3:小原好美)
- トリコさん=……?(3:大原さやか)
- ルーチャ
- 時の女神(3:松田利冴、松田颯水)
- リリック(3:中川翔子)
- ビッカ
- デキルコ
- 知ってる姫
- コリーヌ
- 魔王
- 終わりに
ククリ(1、2:吉田古奈美 3:小原好美)
とはいえ、彼女を紹介しなきゃ始まらない。「グルグル」の主人公、ククリである。作者・衛藤ヒロユキ曰く「フランスやイタリアよりはヨーロッパにいる女の子のような感じ」「地味な女の子」。伝説のミグミグ族の唯一の生き残りとして、魔法陣から力を引き出す魔法「グルグル」を使う。夢見がちな性格。ニケのことを「勇者様」と呼んで、慕ってる。
その想いは序盤から一貫してるけど、徐々に可愛い格好をしてニケにアピールするべく「もっと褒めんかキタキタ!」と心のなかで叫んだり、ニケを取られたくないという独占欲、嫉妬といった感情にも目覚めていく。続編「2」ではますますそういった流れは加速する。でもその可愛さは変わらない。
10年前の今日、19人の家族ができました 公野櫻子「Baby Princess」10周年によせて
knock knock――
「Baby Princess」、というタイトルを聞いたことがあるだろうか。
「Sister Princess」「Strawberry Panic」「ラブライブ!」で有名な公野櫻子が生み出した、19人の姉妹――彼女たちと、長男である私(たち)の、騒がしくも愛にあふれた生活。その家族の軌跡を、ブログや小説、漫画、アニメ、雑誌の読者参加企画としてまとめたものの総称だ。
雑誌「電撃G`s magazine」の200号記念企画として、それはスタートした。 キャラクターデザインは、みぶなつきが担当している。
- 私たちのWHOLE SWEET LIFE
- ほぼ毎日更新という偉業
- コメント欄のトゥルー長男たち
- ホームドラマとしての「べびプリ」
- 四年半という歳月
- トゥルーが静止する日
- トゥルー家族の産みの親・公野櫻子先生
私たちのWHOLE SWEET LIFE
「おめでとう!! あなたの本当の家族はここにいたんです!」2007年12月24日、私は彼女たちと初めて出会った。ブログ「WHOLE SWEET LIFE」(以下WSL)の毎日更新は、その日から始まっている。企画の中核をなす、姉妹たちが自らの言葉で日々の出来事を綴る日記だ。
下は0歳の赤ちゃんから上は18歳の女子大生まで、個性豊かという言葉で片付けるにはヴィヴィッドすぎる女の子たち。
- 現役女子大生お天気お姉さんの長女、
海晴姉 。 - あんこをこよなく愛する、虚無主義でちょっとお茶目な次女・
霙姉 。 - 長男のことを「王子様」と呼ぶ暴走乙女・三女の
春風さん 。 - 運動神経抜群で武道を嗜んでいる、長男とは同級の四女・
ヒカル 。 - コスプレ趣味で、優しいけど時折ちょっと黒いところも見せる五女・
蛍 。 - 長男を「下僕」呼ばわりしてやまず、一方で病弱な綿雪を過保護なまでに溺愛するなど、家族への想いは人一倍強い高飛車な六女・
氷柱 。 - 一家のトラブルメーカーでギャル風の七女・
立夏 。 - 気が弱いけど優しい八女・
小雨 。 - オトコ嫌いで長男に対してかたくなな九女・
麗 は鉄道マニア。基本的に乗り鉄で、好きな車両は105系。姉妹イチの美人さん。 - 三国志が大好きな十女・
星花 。推し武将は関羽。 - 魔法使いを自称する十一女・
夕凪 。「はっぴーらっきーはねむーん」という呪文が口癖。 - ロボット疑惑が囁かれる、怜悧な十二女・
吹雪 。 - 体が弱く、昔から入退院を繰り返してる十三女・
綿雪 。 - 自分をマリー・アントワネットの生まれ変わりだと信じ、長男を「フェルゼン」と呼ぶ十四女・
真璃 。 - 霊感が強く、九尾の狐の守護霊が憑いてる十五女・
観月 。 - 泣き虫の十六女・
さくら は、ストレス耐性が弱くてすぐにおなか痛くなっちゃうところが共感できる。 - おませでおしゃれな十七女・
虹子 。イラストではフレディというピンクの象と一緒に描かれてる。 - 好奇心旺盛で、自分についてない長男の「おちんちん」に興味を持つ十八女・
青空 。 - そして0歳ということでお話も文字も書くことができないため、日記ではママ? による翻訳がついてる十九女・
あさひ 。
……今だから言うと、最初はインパクトが強すぎて、引いてしまった。姉妹企画と言っていい「シスプリ」も、アニメやゲームはネタとして*1楽しんでたけど、イマイチいいお兄ちゃん(orあにぃor…)にはなれなかったから。彼女たちの輪の中に入って、うまくやっていけるとは思えなかった。
*1:ごめんなさい。当時の自分は節穴アイでした
「魔法陣グルグル」を語り尽くせ メルヘンとRPGギャグとおっさんの狭間で
なんと言っても、ククリがめっちゃ可愛い。あ、無事に全24話の放映が終了したアニメ「魔法陣グルグル(2017)」の話です。
- 【ククリが初恋】系三十代男子の今
- ドラクエ4コマからの連載開始~RPGギャグ漫画として
- メルヘンファンタジー、少女漫画として
- オルタナティブ少年漫画としての「日本一熱い少年漫画誌」ガンガン
- アラハビカ編~完結まで 物語は失速したか
- そして続編へ
- 終わりに
【ククリが初恋】系三十代男子の今
一本目のアニメは当時単行本が三巻しか出てない原作で四五話持たせるために、オリジナルストーリーを交えて展開した。それでも間延びして感じられることがなかったのは、スタッフの力量故か。所々「甘いものな~んだ?」なチョコレートのエピソード、ククリ悪魔化、かっこいいポーズ、風の谷がギップルの故郷等、微妙にその後の原作とかぶる展開が。これは原作者がアイディア出してたらしい。二本目はその続編だけど、これも完結までは行かなかった。
今回はスタッフ・キャストを一新して、原作の1話から改めてスタート。旧シリーズ完結までの映像化を目指す。旧作の、吉田古奈美さんのククリは小動物的な可愛さがあったけど*1、今回の小原好美さんのククリは等身大というか、あの頃僕たちの隣にいてほしかった女の子感が、とても、すごく、好き。周囲の【ククリが初恋】系三十代男子の「ククリkawaii」大合唱が、Twitterでの毎週の恒例行事になってる。ていうか基本的にキャスティングが神がかってる。彼女がヒロインを演じた「月がきれい」もそうだけど、アニメ的な過剰さがない日常物、青春物のおかげで、こういう演技の需要も増えたなあって思う。最近は「ウェヘヘヘヘ」みたいな汚い笑い方も板についてきた。2ちゃんねる「漫画板最萌トーナメント」の初代優勝者の称号は伊達じゃない!
……惜しむらくは、原作に比べてちょっと細すぎることかな。ケベスベスがえっちな踊りさせてるシーンとか。栗まんじゅうには程遠い。
一見一枚岩のように見える【ククリが初恋系】三十代男子も、内部では
- ククリこんなにエロ可愛かったっけ派
- 当時はいけたけど今は罪悪感が先行して邪な想いを抱くの無理派
- 昔も今もククリは無垢な少年時代の象徴であってそういう対象じゃないんだよなあ派
- は? 20年間ずーっとククリのお尻はいっこうに最高ですが?派
に別れて、醜い争いを繰り広げている。「グルグル」がえっち漫画として当時の子供たちの性の目覚めに関与したのは間違いない。特に、レイドが納屋に連れ込んだククリを押し倒すシーンは印象深い。さっき買ったばかりのおもちゃが藁の上に転がってる描写に、作者・衛藤ヒロユキの本気を感じて戦慄した。でも、可愛い絵柄のせいか、男性キャラからは生々しいスケベったらしさはあまり感じられない。ケベスベスですら、女の子にえっちな踊りをさせたがるの画像は性欲より悪戯心のほうが勝ってのことのように読める。エクールちゃん(18)のところに通ってたニケ? ほら、恋心とそういうスケベ心って別物だから……
エロいとかエロくないとかはさておき、そりゃ俺だってククリに勇者様って呼んでもらいたい。でも俺はニケじゃないんだ。
第1話。会ったばかりの泣いてる女の子に、その女の子の得意分野のことをさらっと聞いて笑顔を引き出すイケメンムーヴ*2。しかも多分本人は意図せず。 ククリはニケのことが勇者様だと最初から信じて疑わないけど、男の子として好きになるのはこういうことが積み重なっていった結果なんだよなあ。ぼくにはとてもできない。
小笠原流の流鏑馬を観た in 立川立飛みどり地区
流鏑馬を初めて見た。11月19日に立川にある立飛ホールディング図所有の空き地、通称「みどり地区」*1で小笠原流の方々を招いて行われたものだ。
神事としてやってるところもあるし、もっと厳かな感じだと思ってたけど。解説の宗家の人が配慮してくれたのか、的を吹っ飛ばさなかったからといって外れではないけど、そうはいってももののふたるものやっぱり吹っ飛ばすところを見たいですよねって観客の意を汲んだことをゆってくれたり*2。アンコールというか、「もう一人射手が残ってました」を三回天丼したり、楽しいイベントだった。
三十代のオタク「「「るろ剣と和月のことは俺が一番よく分かってるんだ!」」」
はい、るろうに剣心世代です。私がジャンプを読み始めたのは、「ドラゴンボール」「幽遊白書」「スラムダンク」などが既に看板としての地位を確立してた頃。1994年開始の「るろ剣」は、長期連載としては初めて、連載開始から終了までを見届けた作品ではなかったかと思う。
今から約140年前、黒船来航から始まった「幕末」の動乱期、渦中であった京都に、「人斬り抜刀斎」と呼ばれる志士が居た。
修羅さながらに人を斬り、その血刀を以って新時代「明治」を切り拓いたその男は動乱の終結と共に人々の前から姿を消し去り、時の流れと共に「最強」という名の伝説と化していった。
そして浪漫譚の始まりは、明治十一年東京下町から――
- 明治という時代/飛天御剣流のかっこよさ/不殺という潮流
- 原作とのズレとメディアミックスの出来の良さ
- 物語の外の作者のことば
- 例の事件について、読者として
明治という時代/飛天御剣流のかっこよさ/不殺という潮流
ファンタジー全盛の当時、明治日本を舞台にした時代物、というのがまず新鮮に映った。ジャンプでは「花の慶次」(隆慶一郎原作)なんかもあったけど、時代物といえば大人の男の読み物みたいなイメージがある中で、原哲夫の劇画調もその枠内にあるもので。一方「るろ剣」は、それらからは程遠い線の細い絵柄が親近感を持たせてくれた。
主人公の剣心は、そんな絵柄が似合う優男*1。10年間日本各地を放浪してきたが、剣術小町・神谷薫に出会うことで、東京の下町にしばらく腰を落ち着けることになる。
彼の流派「飛天御剣流」の技の数々に、小学生~中学生当時の私は憧れた。一番好きなのは「九頭龍閃」。奥義「天翔龍閃」の伝授のために生まれた技、という生まれついての二番手でありながら、使い勝手の良さゆえに多用されるポジションがお気に入りなんすよ……*2。「双龍閃」から「天翔龍閃」という、「飛天御剣流の抜刀術は全て隙を生じぬ二段構え!」の天丼もキマってた。相手の聴覚を破壊する【神速の納刀術】「龍鳴閃」もラストバトルで地味な直接攻撃じゃない技を初めて登場させるのが心憎い。納刀した段階から、親指一本で刀を的に向かって弾く「飛龍閃」で髪留めが弾ける演出もたまらない。
目に映る人々を助けるため、不殺(ころさず)の誓いを胸に秘め、彼は逆刃刀*3を振るう。……しかし、心の奥底には制御できない人斬りとしての過去の自分を飼っている。過去と現在、理想と現実、罪と罰。「るろ剣」は幕末の人斬りの贖罪というテーマが、作品全体を貫いている。彼の生き方の代名詞「不殺」は、90年代から00年代にかけて、アニメ漫画ラノベゲームなどにおける一大潮流となった*4。
歴史物としては、「るろ剣」は本格派じゃない。ある書評で「バーチャル明治」と揶揄されたけどむしろこの漫画にはピッタリかもね、と作者はコメントしてる。でも、幕末・明治という時代に生きた人たちについて、この漫画は多くの見方を教えてくれた。自由民権運動なんて歴史の教科書でしか知らず、日本の民主化に至る立派な行いくらいにしか認識してなかったのが、それを錦の御旗に店で大酒喰らって周囲の客の迷惑も考えず大声で議論して文句つけてきた店員は喧嘩して、なんて輩もいたかもしれない、と思えた。また、「紀尾井坂の変」の大久保利通暗殺の裏には剣心の宿敵にしてこの漫画で一番スケールのでかい悪役・志々雄真実の暗躍があった、という展開にはぞくぞくした。史実の裏では実はこれこれこういうことがあったんだ、とフィクションに絡めていく手法に初めて触れたのも、「るろ剣」だったと思う。
「紀尾井坂の変」をラストに据える単行本7巻は、ドラマもバトルも盛り上がりが最高潮に達する。神谷道場に落ち着きつつあった矢先、新撰組三番隊組長斎藤一との再会。宿敵から、「人斬りが人を斬らずにどうして人を守れる」「不殺の信念がお前を弱くしたんだ」と責められる剣心。そして、幕末を再現するかのような死闘……。
*1:アニメ版の声優は宝塚出身の涼風真世。今にして思うとこれしかないという気にさせられる。少年役ならまだ適任もいたかもしれないけど
*2:でもビームを出してるかのような演出はちょっと……
*3:峰と刃が逆になっているため、殺傷力が削がれている日本刀
*4:この漫画が発端かどうかは分からない