周回遅れの諸々

90年代育ちのオタクです

清野静「時載りリンネ!」「さよなら、サイキック」 歯列矯正ブリッジをつけた女の子は好きですか?

7年の沈黙を破り、あの清野静が新作発表! ってことで、未完の前作「時載りリンネ!」シリーズ1-5を読み返していた。

200万字の本を読むことでたった1秒だけ、時を止めることができる一族“時載り”。バベルの塔に住み、本を摂取することで生きている彼らだが、わざわざ人間界にやってくる変わり者もいる―それが僕の隣の家に住む幼なじみの少女・リンネだ。「わくわくするような大冒険がしたいな」というリンネの一言により僕らは、時間を自由にまたぎ歴史の中に住む死の集団“時砕き”が所有する、“誰にも読めない本”を巡る冒険を始める。


第11回スニーカー大賞奨励賞を受賞して書籍化されたこのシリーズは、児童文学の影響が色濃いハートフルなファンタジー。児童文学風味のラノベ作家というとどうしても野村美月を連想してしまうけれど、あちらが青い鳥文庫などの新書レーベルならこちらは立派な装丁のハードカバーといった感じで、小学六年生のリンネと語り手の少年・久高の冒険を確かな語彙でわりかし格調高く? ちょっと言いすぎか。あまり崩さない文章で、しかし軽やかに謳いあげている。

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