周回遅れの諸々

90年代育ちのオタクです

本当は〇〇な70-80年代サンリオ映画感想

2020年はサンリオの昔のアニメ映画を意識的に観ていた。ハローキティマイメロディを主役とする牧歌的な作風でも、「おねがいマイメロディ」に代表される「カオス」路線でもない、サンリオの知らなかった側面がそこにあった。

チリンの鈴(1978)


やなせたかし原作。母親を狼に喰い殺された子羊が復讐のためにその狼に弟子入りし、やがて自分が狼のようになってしまう……。「ガンバの冒険」ばりにハードな動物物語とそれに見合ったかっちょいい絵作り、そして何より


「泣くがいい。その悔しさがやがてお前の牙になる」
「生きることは悲しみを知ること。その悲しみで心の牙を研ぐのだ」
「僕はもう弱い羊ではない。牙の代わりに研ぎ澄まされた角がある。蹄は岩よりも硬くなった。そして何よりも、死を恐れぬ野生を身に着けた」


など台詞回しがめちゃ痺れる作品。


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同じやなせ原作の「小さなジャンボ」(1975)は東西二大国の戦争に巻き込まれて食糧事情が悪化⇒友達の象を食べるか決断を迫られたり、「バラの花とジョー」(1977)では一輪の薔薇に恋した犬のジョーが彼女を守ろうとして盲目になったりと、これらはあくまで可愛らしい絵柄ながらハードな展開が続くギャップがすごい。

くるみ割り人形(1979)

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ストップモーションの人形劇アニメ。原作はホフマンの童話『くるみ割り人形とねずみの王様』とチャイコフスキーのバレエ『くるみ割り人形』。可愛さと仄暗い怖さが同居している作品で、人形とネズミの軍勢の合戦シーンなどは血湧き肉踊る。


ねずみに襲われる夢から醒めたと思ったら夢の中で傷つけられた腕から出血していた場面、ねずみにやられた兵隊のゼンマイ仕掛けの頭の中が剥き出しになる場面、真っ二つにされた二つ頭のねずみの女王などショッキングな絵が多かった。


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当時の人気タレント大集合してネタ披露してるシーン(実際に愛川欽也本人などを声優に起用)はおもんないとは言わんけど長すぎるかな。手塚治虫の「アニメラマ」シリーズでもこういう悪ふざけはあったけど……


同監督の人形劇として「キティとミミィのあたらしいかさ」(1981)がある。こちらはハローキティ映画第一作。

シリウスの伝説(1981)

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「火の一族」と「水の一族」に二分された世界。メルヘンな生き物たちが泳ぎ回る海を舞台に「ロミジュリ」をやる恋愛ファンタジー……だったのが、最終的に宇宙の彼方に飛んでくような一大スペクタクルSFに雪崩こむオタクが大好きなやつ


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ユニコ 魔法の島へ(1983)

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手塚治虫原作「ユニコ」の劇場用アニメーション第二弾。愛らしいユニコーンのユニコが悪の魔法使いククルックに立ち向かう。


80年代に「幻魔大戦」「妖獣都市」などでぶいぶい言わせたマッドハウスが制作協力に入っていて、マッドハウスとそれに構成脚本監督を担当した村野守美さんの作品という文脈で語られることが多いかも。詳しくは以前に書いたけど、とにかく悪役ククルックの存在感が圧倒的。ユニコたちを回転しながら追いかける姿がトラウマモノに怖くて、アニメーションとしてばちばちギミックが凝っていて、そして散り際が滑稽で悲しくて。


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サンリオ映画でどれか一作挙げろと言われたらこれ。dアニメなどでも視聴できます。

終わりに

サンリオ好きの嗜みくらいの気持ちで観始めた一連の作品群ですが、想像以上に面白くてサンリオを見る目が変わりました。みんなも軽率に観ようサンリオ映画。