周回遅れの諸々

90年代育ちのオタクです

現代の光源氏描くエッチ漫画「源君物語」、14股達成は約5年かけて折り返し地点過ぎる

ヤングジャンプ連載のエッチなラブコメ・稲葉みのり「源君物語」が、劇中において「(作中時間で)あと1年で残り6人を落としてもらう」とタイムリミットを設定した。これにより物語はもう折り返し地点を過ぎていることが改めて実感させられた。

 

源君物語」は2011年から連載開始。大学生の源光海が、国文学教授である叔母の薫子さんから、研究の一環として、また光海の女性恐怖症を改善するため、彼女が紹介した女性たちと「現代の光源氏」として14股を達成するよう命じられる……という内容の漫画だ。

 

  (これは小説版)

 

ヤンジャンは青年誌だけあって、この手の作品の常としての寸止め展開はなく、ヒロインとの性交シーンがわりとガッツリ描かれる。ただ、そこに至るまでの展開が長い、というか遅い。セックスシーンに入ってからも遅い。ちゃんとヒロインたちとの交歓を描いているからだ、とも言えるけど、作者が遅筆で、毎号8Pと通常のストーリー漫画の半分しか載っていないことが主な理由だろう。週刊連載なのに、約5年で単行本もまだ9巻までしか出ていない。……ただそれは、必ずしも悪いことではないんじゃないでしょうか。

 


以前同誌で連載されていたマドカマチコ「WHY」では、エロコメを得手とする漫画家の主人公がこの作品を引き合いに出して、「おあずけにおあずけを重ねた挙句! やはりおあずけというある種のマゾヒズムなジレンマの中で、いかに展開していくかが商業エロの醍醐味なんですよ!」と力説している。

 

つまり、展開が遅いということ自体が「焦らし」として効いてくる、ということだ。ヒロインの服を脱がしておっぱいがぶるんって揺れて下着を剥いで恐る恐るおっぱいに手を伸ばして、それだけに8Pかけて、ハイハイ続きはまた次週ねーなんてこともざらにある。けれど、スポーツ漫画では一つの試合を数巻かけて描くなんてことが常態化してるのに、エロでそれをやっちゃいけない、なんてことがあるだろうか。「バキ-SAGA-」みたいに何週もかけてねちっこく行為を描く作品が、もっと増えていいんじゃなかろうか。成年マークなしの雑誌でそれやったらいくらなんでもアウト? それは、まあ、そう……なのかな?

 

 

 「WxY」ではおあずけを強調していたけれど、前述した通りヤる時はヤる、というのは大きい。直近の攻略ヒロインである声優志望のメガネ巨乳*1キャラ・華さんとの行為を描いた回は、それまでどちらかというと受け身だった光海が完全に攻めに回っていて、綺麗な絵だけれど躍動感という意味ではいまひとつだった画面もぐちゅぐちゅばるんばるんずぱんずぱんと迫力に満ちていた。この回ほど、俺たちはこれが見たかったんだよこれが! という読者の感動が共有された漫画というのも、久しぶりに見たかもしれない。

 

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さて、14股の攻略対象となるキャラの内、これまで登場したのは以下の8人だ。()内にはモデルとなった「源氏」の登場人物と、「源君」での役どころも書いておいた。この中には「本番」までいったキャラもいれば途中で止まっているキャラもいる。

 

  • 桃園朝日(朝顔の君:光海の従姉妹。ツン気味大学生)
  • 桐山葵(葵の上:ネイルサロン経営者。クールなのにファザコン
  • 花田千里(花散里:家政専門学校生兼蕎麦屋バイト。おっとり)
  • 六条美也(六条御息所:大学教員。「六条」なのでまあ、アレです)
  • 小若紫亜(紫の上:初等部5年生。初等部5年生)
  • 瀬見伊予(空蝉:大学売店店員。浮気症の彼氏に悩んでいる)
  • 常夏夕(夕顔:フィットネスクラブインストラクター。関西弁)
  • 末摘華(末摘花:声優志望のメガネ巨乳大学生)

 

原作ではメインヒロインである小若紫亜は小学5年生ということもあって、ヤンジャンではちょっと厳しいだろうという気はする。いやでもヤングアニマルの「無邪気の楽園」という例もあるし、どうかな……。というか「源氏」を現代のハーレム物として翻案する際、キャラクターのバリエーションの問題として紫の上はロリになることが多いみたいな法則ありませんか。実際には少女時代は原作の一時期に過ぎないのに。

 

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閑話休題。そして、タイムリミットを提示した回で、残り6人のヒロインのことも改めて示唆された。こちらはまだ「源君」では登場していないので、()内は「源氏」でのポジションのみ。

 

  • 典侍(70過ぎまで恋をして大往生した熟女)
  • 明石君(気品と教養を兼ね備えた女性)
  • 朧月夜(異母兄からの寝取り)
  • 玉蔓(夕顔と、源氏のライバルである頭の中将の娘であり、源氏の養女)
  • 女三宮(寝取られた皇女)
  • 藤壺(源氏の義母であり永遠の憧れ)

 

最新号を読むと、次は源典侍っぽい? 最後の藤壺は薫子さん自らが実践するだろうと言うのが大方の予想だ。他に、光海の女性恐怖症の原因で、かなりの頻度で登場はしているものの14股の対象には含まれていない中将さん(頭の中将。原作では男)の話なんかもやってくれるんだろうか。

 

5年かけて折り返し地点と書いたけれど、残りも同じく5年かかるとは限らない。作中時間に併せて1年で終わるかもしれない。これまでは14股とか言いつつ一人ずつ攻略してたけれど、とうとう複数人同時攻略という禁じ手を使う可能性もなくはない。あるいはもっと時間がかかるかもしれない。いずれ、わたしたち読者は最後までこの漫画に付き合うだろう。華さん回で、信じるものは報われるというかおあずけに対してちゃんと「待て」していれば最後には「よし」してくれることを示してくれたから。

 

 

*1:当然メガネは行為中もつけたままです西川魯介先生