周回遅れの諸々

90年代育ちのオタクです

【正統派kawaiiから】サンリオキャラクター大賞支援・推しフェアリルを紹介【色物まで】

サンリオキャラのナンバーワンを決める人気投票、「サンリオキャラクター大賞」の季節がやってきた。


sanriocharacterranking.com


ハローキティマイメロディを始め総勢100人が参加するイベントで、今年で32回目を迎える。サンリオの広報紙である「いちご新聞」やグッズショップ、webなどから誰でも気軽に投票できるのはうれしい。けど、不満点がひとつ。「キャラクター大賞」と言いつつ、実質的には作品ごとの投票になってるところだ。


多くのサンリオキャラは、キャラクター単体で存在してるわけじゃない。彼ら彼女らが暮らす世界っていうのがそれぞれに設定されてる。「マイメロディ」ならマリーランド、「ジュエルペット」ならジュエルランド、「Show by rock!!」ならMIDICITY。当然、そこには彼ら彼女ら以外にも色んな生き物が住んでる。「ジュエルペット」みたいな種族名?がタイトルになってる場合はもちろん、「ハローキティ」という名称も、あの猫? の固有の名前であると同時に、実質的に彼女が背負ってる作品世界のことも含んでる。


……それはいいのだけど、キャラ大では煩雑になるのを防ぐためか、「『ジュエルペット』というキャラクター」としてメイン格のルビーのみがクローズアップされたり、SB69はバンドが全部ひとまとめにされてたりするのは、やっぱりもったいないな、と思ってしまう。この辺りはキャラクターの多彩さが売りで、ルビーもシアンも主人公って言うとまた違うし。キャラ大も、回によっては同じ作品でもキャラごとの投票だったりするんだけどね。今回も、マイメロクロミが別のキャラ扱いだったり。「SB69」も去年一昨年はバンドごとだったし。他作品との兼ね合いもあるんだろうか。


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私が推してる「リルリルフェアリル」も、キャラ大ではひとまとめにされてるけど、アニメの1年目だけで100人以上のキャラが登場した。


fairilu.jp

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BGVはいつも放送大学で

今年の1月に、テレビを買い替えた。それで何を流してるかというと、アニメ……ではなくて、専ら放送大学ばかりを垂れ流してる。観てはいない。


www.ouj.ac.jp


ひところ、家でこのブログ用の文章を書いたりする時の、作業用BGMならぬBGVを探してた。集中してれば音楽だけでもいいけど、一人暮らしで家にこもってシコシコやってると、ふと、人の話し声、喋ってる人の姿が恋しくなることがある。それには、ヒーリング系環境音楽なんかでは物足りない。かといって内容が頭に入って来ては作業の邪魔になる……そういった、わがままな条件をクリアする映像を。


最初はニコニコ動画のタグ「作業用BGM」「作業用BGV」でそれっぽいものを探してたのだけど、いくら画面を観てないっていっても何周もすると飽きが来るし、その都度新しいものを探すのも、垂れ流してるだけのBGVにコストをかけすぎてる気がして、やめてしまった。こういう時に頼りになるのは、やはり二十四時間何かしら新規コンテンツを放送してるテレビだ。


まったりとした日常系アニメ、ストーリー性の薄い5分アニメ、長寿アニメというのは、選択肢のひとつではあった。「ヤマノススメ」なんかは、環境映像的なものとしても優秀だ。でも、BGVにするくらい好きなアニメだと、どうしても作業を忘れて見入ってしまうことがある。この矛盾。


sube4.hatenadiary.jp


野球中継も好ましい。ルールもロクに覚えてない、セパのチームもあやふやな、多分平均的な日本人男子より野球のことを知らないマンなんだけど、春夏のナイターは日本の風物詩って感じで好き。作業用BGVとしては、言葉がわからないメジャーのほうが都合がいいかもしれない。高校野球はドラマ性が強すぎてつい見入ってしまうか、大量点差がついて一回で打者一巡しちゃうような試合だとチャンネル変えたくなっちゃうので、不向き。


NHKは、何かと騒がしい民放と比べれば、BGV向きの番組をたくさん抱えている。囲碁将棋系は大体安心して流してられる。でも、やっぱり番組によって引っかかる部分はある。この歴史系番組、スタジオ収録パートいらな~いとか、旅番組でこの水先案内人的な人いらないなあナレーションと映像だけで進行してくんないかなあとか、望みの通りナレーションが進行を司るドキュメンタリーでも俳優が声当ててると、妙にかっこよく喋ろうとしてるなあブレス多めの森本レオ口調やめてくんないかなあと思ってしまったりとか。海外に行く、ナレーションで架空の旅行者を立てるタイプの旅番組で、現地の人が(マイクを向けたスタッフに)Hi,Boyってゆってるのに、受け答えてるナレーターは女性だったり、現地の人は自然体で喋ってるのに、旅行者の演者が演技過剰だったりといったすれ違いがむずむずさせられるんだよおおおおなんだただの人間嫌いか。はい。


そんなこんなで行き着いた最適解が放送大学の講義だ。どの番組も形式は大体同じだし、一日中やってるし、講師陣もいい意味でキャラが立ってないので、作業の邪魔にならない。内容は再放送ありつつ、少しずつ切り替わってく。授業を受けながら別のことをやってるという感覚に、「あ、これ学生時代、授業中に内職がはかどった(ような気になった)やつだ!」ってなる。警戒すべきは滑舌の悪い人にぶつかる可能性くらい。あと、たまにものすごく興味を惹かれる講義に遭遇することも。その時は素直に諦めて、ちゃんと講義を聞きます。

妹はいくつになっても可愛い、むしろ大人になった妹のほうが可愛い

「妹が欲しい」「お前の妹ってことは三十路超えるけどそれでもいいのか」みたいな会話は匿名掲示板ではお約束のネタだ。妹=庇護対象みたいなイメージが、キャラクターの枠を未成年に止めようとしてるんだろうか。ワタシ的には結婚しようが子供産もうが妹はいつまで経っても妹だし肉親としての情は変わんないなーと思う。むしろ年を経るにつれて高まるまである。最近、立て続けにそんな漫画を読んでる。

縞野やえ「服を着るならこんなふうに」

「服を着るならこんなふうに」は、ファッションバイヤーの人が原作を担当する、要は脱オタファッションガイドを漫画にしたもの。社会人数年目のお兄ちゃんが、服装について、大学生の妹・環にイチから指導される。姉にコーディネイトを教わったって話はリアルでよく聞くけど、妹は珍しいかしら。そうでもないか?


人に服装のことを教えてもらうのは恥ずかしい。普段からだらしないところを見られてる肉親なら構わない。……とはいえそれは昔から仲が良かった場合であって、仲悪いわけじゃないけど特に一緒に遊んだりするわけでもない二人が一緒にお出かけというのは、別の気恥ずかしさがあるような気がする。そこを意識しない二人は根っこの部分で最初から仲いいのでは。社会人になったら結婚を前提としたら彼氏を作って家を出たい、と公言してる妹にとっては、ファッション講座は最後の兄孝行みたいなものだろうか。


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ファッションオタクな妹だけど、大学に行く時や友達と遊ぶときと比べて、兄と出かける時はそこまでキメキメな感じじゃないのが逆に可愛い。 

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関谷あさみの父娘漫画「千と万」 おっさんもJCも同じ人間よ

成年漫画において、細い線で描かれた女子中学生、ビビッドな心理描写と濃ゆいエロで人気を得てきた、関谷あさみ。中一の娘と中年サラリーマンの父子家庭を題材にした「千と万」全3巻は、彼女の本格的な一般誌デビュー作となった。帯に曰く、「普通の中学1年生の普通の日常生活がいちばんかわいい」。掲載誌は、「Girlish comics for Boys and Girls」を掲げていた「コミックハイ!」。同誌が休刊した後、「月刊アクション」で完結した。

自分はイケてる中年男性だと思っている父・千広とひとつ屋根の下で暮らす、中学1年生の娘・詩万。お父さんの言動にイライラしちゃうのは、詩万が思春期だから? それとも単にワガママだから? 関谷あさみが女子中学生をリアルに描いた、コミックハイ!の人気作品がついに単行本化!


詩万は、小ずるくて、家事は面倒で、内弁慶で、お父さんはうざくて、でも別に嫌いなわけじゃない、ごく普通の中学生。千広は、気持は若いけど、どうしようもなくおっさんで、すぐ調子に乗るし、娘のことは好きだけど、無神経なところもある、これまた普通の中年サラリーマン。二人のごく当たり前の日常は、当たり前に騒がしく過ぎていく。作者が同人誌で父子萌え漫画を描いてたこともあり、詩万はもちろん千広もなかなか可愛く描かれてる。虫が苦手だったりとか。


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男と女であること、年齢が離れていること。また片親であることから生まれる周囲の二親がいる家庭との違い……。個人の間でのギャップを、ことさらに主語をでかくして取り上げるようなことを、この漫画はあんまりしない。

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『コバルト文庫で辿る少女小説変遷史』 現在の少女小説の主要読者は少女ではない

そもそも「少女小説」とは。新井素子「星へゆく船」や氷室冴子なんて素敵にジャパネスク」、小野不由美十二国記」、今野緒雪マリア様がみてる」、雪乃紗衣彩雲国物語」などの、少女に向けて書かれた小説のことだ。大正時代、吉屋信子エス小説(百合小説)「花物語」の頃から言葉とジャンル自体は存在したのだけど、現在に至るそれは80年代の新井素子氷室冴子らが確立させたという。



ファンタジー、学園物、BL。時代によって流行の変遷はあったにせよ、主要読者層はあくまで少女たちだった。しかし、2017年現在では読み手のコアは「年齢で区切れば『少女』ではない女性たち」だそうだ。中高生の間で少女小説が以前ほど読まれなくなったこと、かつての中高生がそのまま読者としてスライドしたこと。以上2点が平均年齢を大きく押し上げた。少年向けのライトノベルは、市場における存在感の大きさから俗流若者論と結びついた毀誉褒貶を浴びることが多かったけど、近年の少女小説はその点、ジャンルが縮小傾向にあり、一言居士もあまり寄りつかない*1。とはいえ、少年向けも存在感の割に一部の論者が心配するほど売上は大きくないし、少年向けでもなろう系なんかの主要購買層は30代とも聞くのだけど。


嵯峨景子『コバルト文庫で辿る少女小説変遷史』は少女小説の主要読者が「少女」ではない女性たちになるまでの歴史を、ジャンルを代表するレーベルであるコバルト文庫中心に辿っていく。表紙カバーの写真に写っているのは著者自身で、ジュニアモデルとかイラストでなく妙齢の女性が表紙という辺りに本書の肝がある気がする。

*1:そう、俺以外は

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