周回遅れの諸々

90年代育ちのオタクです

オタクは特定のことにしか興味がなく世事に疎いというイメージは事実なのか

近年、アニメや漫画、ゲームと異業種とのコラボはすっかり定着した。コンビニに行けば男性向け女性向け問わず必ず何らかの作品のキャラクターが並んでるし、オタク向けの聖地巡礼を町おこしの考慮に入れている自治体も多い。売ってるものがウン十万、ウン百万する自動車産業でも、アニメ制作会社とコラボして思わぬ傑作を生んでたりする。



アニメや漫画のキャラクターが街中に氾濫*1すること、特定のニュアンスを含んだ作品とお硬い機関が公にコラボすることについて批判は多いけど、その辺はこれから長い時間をかけて社会的な合意が形成されていく……といいですね。

異業種のオタクコンテンツコラボの役割


こういった企画が生まれた発端をマーケティング担当者が語ってるインタビューなどを読んだりすると、往々にして「これまで弊社の商品に興味がなかった顧客層にリーチして……」とかなんとか語ってたりする。それは、その通りなんだろう。一方で、オタクが本当に興味ない業種とコラボしたとして、そこまで成功するんだろうか、とも思う。


オタクは自分の好きなことしかしない、世事に疎いとよくゆわれるけど、実は彼ら彼女らは潜在的あるいはわりと表に出る形で各方面に興味を持っていて、コラボの効果っていうのはそんなオタクを自分たちの商品を選んでくれるよう最後のひと押しすることにあるんでは?


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5年くらい? 経ってすっかり色褪せてしまった「アマガミSS plus」のポスター@大江戸温泉物語


「オタク」というのを、アニメ漫画ゲームラノベといった「二次元」の作品とそれに付随する諸々を趣味としてる人たちだとして。統計的な裏付けも何もない、自分の周囲の話で申し訳ないけど、それ「しか」ないオタクというのをわたしは見たことがない。あ、以下で言うオタクは基本的に男オタクのことです。女性のオタクはそもそも知り合いが極小(ToT)

オタクと野球


たとえば、オタクは野球が嫌いだという。でも自分の二十年くらいのオタク人生の中で出会った知り合いの半数……少なく見積もって1/3くらいは、NPBで贔屓のチームを持っていた。草野球でもなんでも実際にプレイしてるって人はさすがに少なかったけど。それに、今現在インターネット上のオタクコミュニティで覇権を握っているなんJ民は、言うまでもなく大体「やきう」が好きな人達だ。野球は基本的になんでもかんでも「記録」するスポーツなので、暗記が好きなオタクと相性がいい、とゆったのは誰だったか。



ドラゴンボールが野球中継のせいで潰れたから嫌いになった? 野球で潰れなければアニメ内の「はああああ……!」(ギュインギュインギュイン ←気を溜めてる の時間が延長されるだけじゃないですか

オタクと運動


オタクは運動が苦手だ。これはまあその通りであるかもしれず、だからこそ年を重ねて健康が気になる年頃になってくると、ジョギングしたり自転車に乗ったり山に登ったりあにトレしたりする。またスポーツでも卓球や剣道、棒術部などのオタク率は高い。


オタクと観光


オタクには学生時代、西洋史日本史どちらかあるいは両方でも、歴史の成績が良かった人が多い。平野耕太の「ドリフターズ」なんかはそんなオタク心を最高にくすぐる作品とゆえる。彼らが旅行に行けば、なんだかんだで各地の史跡城跡を訪れたりして楽しむ術を見つけるだろう。観光といえば「食」だけど、別にオタクに限らず美味しいものが嫌いな人は少ないし、そこに自分の好きな作品が絡んでるとなれば、そら聖地巡礼は楽しい。


オタクと芸能


オタクは声優以外の有名な芸能人を知らなかったり、テレビを観なかったりするという。でも、例えばTwitterのTLに流れてくる人気作品の二次創作漫画では「鉄腕DUSH」や「芸能人格付けチェック」や「食わず嫌い王決定戦」のネタがお約束だったりする。まあこれらはみんな長寿番組で、視聴者がオタクとして「固まる」以前から放送されていたってのもあるんだろうけど……。他にも「シン・ゴジラ」で「なんだかんだみんな俳優の名前詳しいじゃん」と思ったり、NHKの朝の連ドラや大河ドラマ*2は誰かしら観てたり。


オタクと飲む打つ買う


オタクは三次元の女性が苦手か? チャンスがあっても手を出そうとしない「草食系」か? 独身・彼女がいない人が周囲に多いのはそうかもしれないけど、性的な欲望の有無とその解消はまた別の話だ。学生時代そういう面を表に出さなかった人が数年経ったら普通に風俗行ったりその手のシモネタをゆったりしてて、普段からそういうことをあからさまにしてた人間のほうが勝手に喪失感を味わう、というのは全国のオタサーの卒業後の集まりでの、恒例行事と化している。


飲む打つ買う、という例の標語でゆえば、オタサー入ったらこの人たちやたら麻雀ばっかり打ってる!/呑んでばっかいる! というのも体育系文化系問わずありがちで、それはオタサーも例外じゃない。


求道者としてのオタク


……ここまで思いつく限り挙げてきたけど。じゃあ他に趣味を持ってる人たちがオタクとしてライトかとゆえば全然そんなことはなく、その上でTVアニメを週20本くらい観てたり(社会人)、毎月何かしらの声優イベントに足を運んでたりする(社会人)。こういうことを強く実感しだしたのって大学卒業してからなので、社会人になると一般的に可分所得が増えて、学生時代そこまで積極的でなかった分野に手を伸ばしたくなる、というのはあるかも。


また、ライトでウェーイオタクが増えたのは最近のことだってゆうけど、でも30年以上前に既に「明るいイデオン」を標榜して原宿でイデ音頭踊ったりしてたんでしょう?(自分に都合のいい実例を見つけると鬼の首を取ったように騒ぐオタク


d.hatena.ne.jp


この文章を読んでもらって、オタクを礼賛してるように見えただろうか? そういう気持ちもなくはない。でも、ただ単に、オタクと言えどこうと決めた道だけを一心に突き進むなんて、そうそうできるもんじゃないってだけな気もする。「楽しいことだけを数珠のように繋いで生きていけるわけがない」と言うけど、楽しいこと=趣味一つとってもやりこんでく中で無数の枝分かれがあるわけじゃないですか。というか、オタク気質な人が手を出しやすい分野、というのはあるにせよ、どの分野でもオタク気質を発揮せずにはいられないのがオタクなのかな、とも。


それに、色んな分野に興味を持ってたとしても、社交性があるとかないとか結婚できるとかできないとかはまた別の話なんだよ、きっと。や、それでも多分野に興味ある方が色んなことに近いことには変わりないと思うし、そういう人には憧れるけど。現状既婚だろうと独身だろうと。


わたしは、というと。残り少ない人生の中で何か専攻を定めなきゃオタクとしてやっていけそうにないぞ、という気持ちからその道の専門家たろうとした時期もあったんだけど。どうも何者にもなれなさそうなことが決定的になりつつあるので、興味持ったことはなんでもできるたけ積極的に挑んでみる、というのを最近は心がけていた。初めて参加した声優ライブ*3である、アイマス10th in 西武ドームが一つの契機だった。声優やアニメ・ゲーム関連のライブがこうも頻繁に大々的に開催されるようになるってのも、10年前は想像できなかったな。



……でも、趣味を増やすというよりは、単に生き急いでるだけだな自分のこれは、とも思う。行楽シーズンとはいえ、色んなイベントにとりあえず申し込んでみたら、預金残高が……。しばらくは自重します。


sube4.hatenadiary.jp 辻真先先生と並んでつづ井さんは自分的に理想のオタク像です

*1:実際は流石にそこまででもない

*2:これは前述の歴史好きからだろう

*3:正確には10年位前に坂本真綾のライブに参加してるけど、そこでは開眼しなかった