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周回遅れの諸々

90年代にオタクとしての青春を過ごした人のブログです

日常系R18小説「今日は昨日、明日は今日」(ノクターンノベルズ)

知人が結婚した。と言っても、現実に存在する知人ではない。R18小説サイト・ノクターンノベ ルズ(現ミッドナイトノベルズ)で連載されている、「今日は明日、明日は今日」の主人公のことだ。

 

novel18.syosetu.com

 

作品紹介では、

 

金で買い取った少女に奉仕をさせ、対価に施しをする男。長く暮らす内に情が湧き、いつしか掛け替えのない家族として、少女に依存している自身に気がつく。

歳の差二十年余りの男女の、緩やかな日常と踏み外した生活を男の一人称で追う。少女が大人になるまでの二十二年を、一年三十話で書いていく予定。

毎週月金一話1600字程度で更新。二次創作はご自由に。

 

となっていて、2013年2月から開始した連載は、既に350回を数えている。2年近く前、ノクターンの小説を読み漁っていた頃に見つけた作品の内の一つだけれど、他は完結したり放置されたり放置されたりで、現在も定期的に更新されているのは本作だけとなってしまった。作中では既に12年が経過し、タイトルも最初の「少女を買い取って、飼育して、調教する話」から現在のものに改題された。

 

エロを主軸に据えた「よつばと!」というと取りこぼすものが多すぎるだろうか。どっちかというと「千と万」の方が近いかな。あらすじからしてドン引き確実だし、実際の内容もこの通りではあるのだけれど、その過激さとは裏腹に淡々と綴られる文章がかえって怖い。そんな小説だ。

  

 

千と万 : 1 (アクションコミックス)
 

 

 この作品で気に入っているのは、男女の営みを日常の中にあるものとして描いている点だ。エロ ゲーでもエロアニメでも実写AVでも、SEXはどちらかというとハレのものとして取り扱うのが主流 のように思える。それはプレイ内容が過激だとかシチュエーションがファンタジーだとか人体の描写が非現実的だとか、そういうことじゃない。お互い好き合っているけどなんとなく今日は気が乗らなくてとか、明日は仕事で朝早いことを考えるととか、アブノーマルなプレイの後片付けが大変だったとか、

  

……なんだかこう並べてみると悲しき経験不足且つ語彙力がない身ではっとさせられる具体例が思い浮かばないけれど。リアリティ、というと途端に胡散臭くなってしまうし、所帯じみているといった方が感覚としてはぴったり来るか。そういう非日常的な物語では様にならない要素を本作は重視しているように思う。「イベント」としてのHシーンもいいけど、なんでもないような男女のやりとりも含めたエロ小説をわたしは読みたかったんだ。勿論、他にも似た傾向の作品はたくさんあるけれど、これまで観たり読んだりした中ではかなり理想に近いバランスを保っているように思えた。

 

なお官能小説ではなく、普通小説でエロい奴を読んだほうがいいのでは?というのは少年漫画のエロを読みたい人に成年漫画を勧めるくらい筋違いなので悪しからず。ノクターンから「官能を主目的にしない男性向けR18小説」のためのサイトであるミッドナイトに移転した事実が示すように、この小説の「実用性」は決して高くない。だが、それはまた別の話だ。

 

mid.syosetu.com

 

閑話休題。この小説の日常を支えているものは何だろう。まず、著者の落ち着いた筆致というのは大きい。鍵括弧つきの会話文を用いない記述も、雰囲気に合っている。商業出版故のボリュームの制約がないため、日常描写に好きなだけ枚数を割けるというのもあるかもしれない。また定期的に更新される 小説を読む行為が生活リズムに組み込まれてることによって、公野櫻子による「べび プリ」の姉妹たちが書いているという体裁の日記を愛読していた時に似た、こちらの日常とあちらの日常が近づいていくような感覚も覚えた。この小説の登場人物は、主人公もヒロインも、誰ひとりとして名前が出てこない。にも関わらず今では彼らに対して、名前も顔も知っている同僚に対して以上の親近感を、あるいは抱いている。作中で10年を共に過ごした二人が結婚した時は感慨深いものがあった。

 

 

 それにしても、こういった話をしていると、細部のリアリティ(という言葉をあえて使う)に拘らない人はどうせ童貞なんだろうみたいなことを言い出す人がいるけれど、他の人はいざ知らず 、いち読者としての自分を鑑みてみるに逆だと思う。つまり、童貞マインド(実際に童貞かどうかはあまり関係ない)に取り憑かれ非日常的なそれより余程自分にとって遠いと思っているからこそ、男女のやりとりのもっともらしい側面に拘泥しているんじゃないかと。自分が愛してやまない「耳刈ネルリ」シリーズで主人公が、既婚の友人が結婚生活の愚痴をこぼすのについて「なるほど、マイナス面も知ってるんだぜってアピールすれば経験者を装えるのか」と憧れていたのと同じように。NTRが好きなのもこれに似た理由だと考えている。

 

 

他にノクターン/ミッドナイトでお気に入りの小説

童貞主義者の堕落 森見登美彦作品っぽい主人公のところに黒髪美少女が押しかけてくる奴

ペリドット - Ⅰ ペリドット season-2 都会っぽいやつ(?

布団の王国 インピオいやつ。完結済み

極地恋愛 書籍化したやつ。完結済み。

マイ・リトル・ガールズ 好きかとゆわれると微妙なところだけどなんか圧倒される奴

女二人に男一人 タイトル通りのやつ。完結済み

 

基本的に異世界ファンタジーでエロはダメな人です

 

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