周回遅れの諸々

90年代育ちのオタクです

私の名は安井健太郎「ラグナロク」。小説家になろうで復活したスニーカー文庫の看板、それが私だ

お盆は死んだ人が帰ってくる。とは言うものの、まさかこの作品が帰ってくるとは思わなかったよね。



1998年。ラノベ業界のファンタジーブームは既に収束しつつあった。富士見は「フルメタル・パニック!」、電撃は「ブギーポップ」、コバルトは「マリア様がみてる」。各社、非FT作品が次々とブレイクし、「主流」が変わっていくのが実感できた。そんな中、第3回スニーカー大賞受賞という肩書を引っさげて登場したのが「ラグナロク」だった。

たぐいまれなる能力をもちながら、傭兵ギルドをぬけた変わり者、リロイ・シュヴァルツァー。そして彼の信頼すべき相棒である、喋る剣、ラグナロク。二人の行くところ、奇怪な武器をあやつる暗殺者から、けた違いの力をふるうモンスターまで、ありとあらゆる敵が襲いかかる。かつてないパワー、スピード、テクニックで、格闘ファンタジーに新たな地平を切りひらくミラクル・ノベル誕生。第3回スニーカー大賞受賞作。

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【我は放つ】「魔術士オーフェン」の呪文の元ネタ、RPG「ダイナソア」を知ろう【光の白刃】

「我は放つ光の白刃」など、「オーフェン」に登場する呪文は、日本ファルコムRPG「ダイナソア」のパクリ――。「オーフェン」ファンなら、一度は耳にしたことがある疑惑だ。

オーフェン」シリーズの呪文のカッコよさ


秋田禎信の「魔術士オーフェン」シリーズ(1994-)は、90年代後半に一世を風靡したファンタジーラノベ。累計で1000万部を売り上げ、神坂一の「スレイヤーズ」と共にファンタジア文庫の看板を担った。2003年に一度完結したけど、近年になっても別の出版社で新装版と新シリーズ*1が刊行されたり、原作準拠のコミカライズが始まったり。いまだになにかと動きが絶えないことからも、人気のほどが伺える。



本作で人間の魔術士が使う「音声魔術」は、術者の声が届く範囲にのみ効果を発揮する。呪文はあくまで媒介であり、逆にゆえばその内容はなんでもいい。けどあんまり支離滅裂なことを叫んで集中を失ってもまずいので、主人公のオーフェンは、我は~から始まる「魔術の効果を端的に表現」した呪文を唱えることを好んだ……というのが、作中の設定。中でも、「我は放つ光の白刃」――他の魔術士は同じ魔術でも「光よ」ときわめてシンプルな呪文を使ったりする――をオーフェンは多用していた。


なお、作中ではオーフェン氏のオリジナルとされてたこの呪文、シリーズが進んでいくと同じ「我は~」系の呪文を使う兄弟子コルゴンが登場し、主人公氏は彼のそれを真似たのではないか、ともファンの間では推測されている。


で、この我は~から始まる呪文群の元ネタとゆわれてるのが、1990年にPCゲームとして発売された「ダイナソア」というわけだ。


ダイナソア 〜リザレクション〜

*1:全10巻で完結済み

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俺が「げんしけん」世代のオタクだ

  • 例えば、大学に入って、アニ研とか漫研とか、明らかにオタクなサークルに入る覚悟がなくて。名前からはそうと分かりづらい、オタ活もそんなに本格的じゃないじゃないサークルをついつい選んでしまったり。
  • 例えば、男所帯のオタサークルに新歓でせっかく女の子が来てくれたのに、女慣れしてないので、内輪の自虐芸に走るなどしてうまく対応できなかったり。
  • 例えば、それまで楽しくうるさくオタク会話してたのに、向こうからやってくるDQNに気づいて、意気消沈して静まり返ったり。


ぬるオタサークル「現代視聴覚文化研究会」通称「げんしけん」のボンクラな青春を綴ったこの漫画の、そういうところが好きだった。オタクの感情の細かい機微をうまくすくいあげてる、と感じた。作者の、人間をこういう風に見てるんだなっていう視座とか、それをキャラクターとして落とし込む時の手つきとか、話し言葉とかが性に合うんですよね。とゆって「リアル」路線一辺倒じゃなくて、ファンタジーな部分とのさじ加減がちょうどよい。


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サークル会室の雑然とした書き込みに加え、学生時代、ちょうど舞台のモデルとなった辺りに住んでいたこともあって、彼らの一挙手一投足が、まるで我が事のように感じた。


PCは専らエロゲのための道具で、インターネットがほとんど話に絡んでこないのは、時代的に違和感があったけれど。逆に初期の主要キャラほとんどに格ゲーの持ちキャラが設定されてるのとかは、この頃って既にブーム去ってたように思うけど、みんなそんなに格ゲーやってるの? と思ってしまったり。


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作者の前作である「四年生」――将来を嘱望される弁護士志望の彼女と、対照的に全く就職活動してない駄目彼氏を描いた――を読んで、「あ、これ好きなやつだ」って思いはますます強くなった。続編である、なんとか内定を取れたのに単位計算間違えてて留年してしまった彼氏と、その彼女の話「五年生」は……ドロドロ過ぎてちょっと……。


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【正統派kawaiiから】サンリオキャラクター大賞支援・推しフェアリルを紹介【色物まで】

サンリオキャラのナンバーワンを決める人気投票、「サンリオキャラクター大賞」の季節がやってきた。


sanriocharacterranking.com


ハローキティマイメロディを始め総勢100人が参加するイベントで、今年で32回目を迎える。サンリオの広報紙である「いちご新聞」やグッズショップ、webなどから誰でも気軽に投票できるのはうれしい。けど、不満点がひとつ。「キャラクター大賞」と言いつつ、実質的には作品ごとの投票になってるところだ。


多くのサンリオキャラは、キャラクター単体で存在してるわけじゃない。彼ら彼女らが暮らす世界っていうのがそれぞれに設定されてる。「マイメロディ」ならマリーランド、「ジュエルペット」ならジュエルランド、「Show by rock!!」ならMIDICITY。当然、そこには彼ら彼女ら以外にも色んな生き物が住んでる。「ジュエルペット」みたいな種族名?がタイトルになってる場合はもちろん、「ハローキティ」という名称も、あの猫? の固有の名前であると同時に、実質的に彼女が背負ってる作品世界のことも含んでる。


……それはいいのだけど、キャラ大では煩雑になるのを防ぐためか、「『ジュエルペット』というキャラクター」としてメイン格のルビーのみがクローズアップされたり、SB69はバンドが全部ひとまとめにされてたりするのは、やっぱりもったいないな、と思ってしまう。この辺りはキャラクターの多彩さが売りで、ルビーもシアンも主人公って言うとまた違うし。キャラ大も、回によっては同じ作品でもキャラごとの投票だったりするんだけどね。今回も、マイメロクロミが別のキャラ扱いだったり。「SB69」も去年一昨年はバンドごとだったし。他作品との兼ね合いもあるんだろうか。


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私が推してる「リルリルフェアリル」も、キャラ大ではひとまとめにされてるけど、アニメの1年目だけで100人以上のキャラが登場した。


fairilu.jp

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BGVはいつも放送大学で

今年の1月に、テレビを買い替えた。それで何を流してるかというと、アニメ……ではなくて、専ら放送大学ばかりを垂れ流してる。観てはいない。


www.ouj.ac.jp


ひところ、家でこのブログ用の文章を書いたりする時の、作業用BGMならぬBGVを探してた。集中してれば音楽だけでもいいけど、一人暮らしで家にこもってシコシコやってると、ふと、人の話し声、喋ってる人の姿が恋しくなることがある。それには、ヒーリング系環境音楽なんかでは物足りない。かといって内容が頭に入って来ては作業の邪魔になる……そういった、わがままな条件をクリアする映像を。


最初はニコニコ動画のタグ「作業用BGM」「作業用BGV」でそれっぽいものを探してたのだけど、いくら画面を観てないっていっても何周もすると飽きが来るし、その都度新しいものを探すのも、垂れ流してるだけのBGVにコストをかけすぎてる気がして、やめてしまった。こういう時に頼りになるのは、やはり二十四時間何かしら新規コンテンツを放送してるテレビだ。


まったりとした日常系アニメ、ストーリー性の薄い5分アニメ、長寿アニメというのは、選択肢のひとつではあった。「ヤマノススメ」なんかは、環境映像的なものとしても優秀だ。でも、BGVにするくらい好きなアニメだと、どうしても作業を忘れて見入ってしまうことがある。この矛盾。


sube4.hatenadiary.jp


野球中継も好ましい。ルールもロクに覚えてない、セパのチームもあやふやな、多分平均的な日本人男子より野球のことを知らないマンなんだけど、春夏のナイターは日本の風物詩って感じで好き。作業用BGVとしては、言葉がわからないメジャーのほうが都合がいいかもしれない。高校野球はドラマ性が強すぎてつい見入ってしまうか、大量点差がついて一回で打者一巡しちゃうような試合だとチャンネル変えたくなっちゃうので、不向き。


NHKは、何かと騒がしい民放と比べれば、BGV向きの番組をたくさん抱えている。囲碁将棋系は大体安心して流してられる。でも、やっぱり番組によって引っかかる部分はある。この歴史系番組、スタジオ収録パートいらな~いとか、旅番組でこの水先案内人的な人いらないなあナレーションと映像だけで進行してくんないかなあとか、望みの通りナレーションが進行を司るドキュメンタリーでも俳優が声当ててると、妙にかっこよく喋ろうとしてるなあブレス多めの森本レオ口調やめてくんないかなあと思ってしまったりとか。海外に行く、ナレーションで架空の旅行者を立てるタイプの旅番組で、現地の人が(マイクを向けたスタッフに)Hi,Boyってゆってるのに、受け答えてるナレーターは女性だったり、現地の人は自然体で喋ってるのに、旅行者の演者が演技過剰だったりといったすれ違いがむずむずさせられるんだよおおおおなんだただの人間嫌いか。はい。


そんなこんなで行き着いた最適解が放送大学の講義だ。どの番組も形式は大体同じだし、一日中やってるし、講師陣もいい意味でキャラが立ってないので、作業の邪魔にならない。内容は再放送ありつつ、少しずつ切り替わってく。授業を受けながら別のことをやってるという感覚に、「あ、これ学生時代、授業中に内職がはかどった(ような気になった)やつだ!」ってなる。警戒すべきは滑舌の悪い人にぶつかる可能性くらい。あと、たまにものすごく興味を惹かれる講義に遭遇することも。その時は素直に諦めて、ちゃんと講義を聞きます。