エヴァオタが《第九》を初めて生のオーケストラで聴いた感想
今年2016年は、自分にしてはアクティブにイベントに参加したり映画に観に行ったりした。その締めとして、12月20日(火)、六本木のサントリーホールで行われた《第九》のコンサートに行ってきた。演奏は読売日本交響楽団通称「読響」。指揮者はドイツのマルクス・シュテンツさん。合唱は新国立劇場合唱団。
エヴァから第九にポロロッカするオタク
そもそも私は、《第九》やパッヘルベルの《カノン》などクラシックをBGMにたくさん使っていることで有名な「新世紀エヴァンゲリオン」で目覚めたオタクだ。あの
意識が変わったのは、昨年夏に西武ドームで行われた
夏の終わりに本格的に行きたいという気持ちが強くなって、チケットぴあから年末のものを探してみると、たくさんある。会場はサントリーホール、NHKホール、Bunkamuraオーチャードホールなどの名前が目立つ。オーケストラは国内ではNHK交響楽団、読売日本交響楽団、東京都交響楽団、新日本フィルハーモニーなどがよく挙がっている。指揮者は重要だそうだけど、会場や楽団以上に分からない。……結局、スケジュールなどを考慮して、サントリーホールでの読響の公演に落ち着いた。一つ、重視したのは基本的に《第九》のみの公演であること。初めてなのに二曲も三曲も聞くと、感想がぼやけそうだったので。チケットは、争奪戦、というほどのものもなく、普通に取れた。開催日が平日だったからだろか。
それから当日までは、ベートーヴェンの曲を作業用BGMに聞いてたらあっという間に過ぎた。ドレスコードは、サンダルとTシャツとかだと流石にアレだけど特に気張る必要はないとのことなので、ノーネクタイ、黒のジャケットにワイシャツ、スラックスと失敗しても大外れしなさなそうな感じに決めた。
*1:アニメやゲームに多く曲を提供している
【勇者のクズ】草河遊也 現役のフルアナログイラストレーター【オーフェン】
私の人生に一番影響を与えたラノベは、「魔術士オーフェン」でまず間違いない。作者の秋田禎信に関しても、旧シリーズが終了してからもずっと追い続けてる。
じゃあイラストの草河遊也はというと、正直ファンタジア文庫版の頃はそこまで熱狂的なファンではなかった。インターネットを始めてから、この人に影響受けた絵描きの人ってプロアマ問わず結構多いんだな、と思ったくらい。有名なところではpakoさんや今野隼史さんが好きってゆってた。それで初めて、ああなるほどそういう良さが確かにあるな、と気付かされた。多分、昔はイラストに関してどうこう言う語彙が今以上になかった、ってのが大きかったんだろう。
草河遊也は1972年生まれ。都築由浩原作で「HARD DIVER」(青心社コミックガイア)という漫画を1度だけ発表した後、イラストレーターの道へ。月刊ドラゴンマガジンの「ソードワールドRPGアドベンチャー」のカットの仕事を数点こなした後、「オーフェン」でブレイク。他に森岡浩之「月と闇の戦記」、茅田砂胡「レディ・ガンナー」、あざの耕平「Black Blood Brothers」などのイラストを手がけつつ*1、現在に至っている。昔のインタビューでは「好きな漫画家は」という質問に「伊東岳彦、田中久仁彦、幡池裕行」と答えていた。
*1:「BBB」の時は、氏がどんな原作にイラストを描きたいか決めるコンペのようなこともしたとか
森見登美彦『夜行』 京都を抜けるとそこは京都であった
デビューから10年以上が経過した森見登美彦の最新作は『夜行』。『きつねのはなし』にも通じる、じっとりと湿った怪談風味のファンタジーだ。
僕らは誰も彼女のことを忘れられなかった。
私たち六人は、京都で学生時代を過ごした仲間だった。
十年前、鞍馬の火祭りを訪れた私たちの前から、長谷川さんは突然姿を消した。
十年ぶりに鞍馬に集まったのは、おそらく皆、もう一度彼女に会いたかったからだ。
夜が更けるなか、それぞれが旅先で出会った不思議な体験を語り出す。
私たちは全員、岸田道生という画家が描いた「夜行」という絵と出会っていた。
旅の夜の怪談に、青春小説、ファンタジーの要素を織り込んだ最高傑作!
「夜はどこにでも通じているの。世界はつねに夜なのよ」
森見登美彦という作家
森見登美彦は2003年に『太陽の塔』でデビュー。ファンタジーともSFともホラーともつかない、摩訶不思議な妄想世界を次々に生み出してきた。古めかしくもコミカルな文体が特徴のひとつ。舞台は森見が京大在学時に青春を過ごした京都であることが多く、特に『太陽の塔』『四畳半神話大系』『夜は短し歩けよ乙女』『恋文の技術』などひねくれまくった、でもどこか憎めない大学生――私は
狸の兄弟を主人公にした『有頂天家族』は「さよなら絶望先生」の久米田康治をキャラ原案に迎えてアニメ化されたけど*1、それを聞いた時ああなるほど、と納得したとゆえば、漫画読みの人には作風の一端が伝わるだろうか。あんなパロディまみれ世間への皮肉まみれの作品ではないけどね……。
私が一番好きな作品は『ペンギン・ハイウェイ』。歯科医のお姉さんに恋してるマセた男子小学生を主人公にした瑞々しいジュヴナイルSFだった。このように必ずしも京都の大学生ばかりじゃないんだけど、とはいえ、いまだに森見作品=京都という見方は読者の間で根強い。
魔女っ子、魔法少女、変身ヒロインの使い魔キャラについて
魔(法少)女といえば使い魔、という連想だったのか。1982年の『魔法のプリンセスミンキーモモ』以来*1、かわいいマスコットキャラみたいなのがくっついてくるのがその手の作品の定番だけど、この魔法少女百花繚乱の時代、彼らもバリエーションに富んでるよなあと。
- 人間の言葉を操れないタイプ
- お子様タイプ
- 知性派タイプ
- 腹黒タイプ
- スケベタイプ
- 元は人間だったタイプ
- 普通に人間タイプ
- 終わりに
人間の言葉を操れないタイプ
画像は「ふらいんぐうぃっち(AA)」のチト。場合によっては特殊な能力を持っていて、人間の言葉を理解はできても喋ることはできない。小動物か、あるいは小型のロボットとかもいた気がする。設定上、非日常へ主人公を誘う役割は難しい、というのがポイントだろうか。主人公は説明を理解できても視聴者ができなきゃ意味がないし。「天地無用!」の魎皇鬼は原作では喋らないんだけど、スピンオフ「プリティサミー」では当たり前のように人語を操るようになっていた。
「放課後のプレアデス」 桑島法子が高森奈津美に幸せにされちゃう運命線
「放課後のプレアデス」というTVアニメは、女子中学生のごく日常的な悩みの解決とキャッキャウフフとガール・ミーツ・ボーイとハードSFを合体させたジュヴナイル作品だ。同じガイナックス制作作品では、「トップをねらえ2!」が一番近いだろうか。あるいは叙情性という意味では「プリンセスチュチュ」? 佐伯昭志監督が脚本・絵コンテを担当した「ストライクウィッチーズ」第6話「いっしょだよ」、同2期「空より高く」といったエイラーニャ回の匂いを感じる人もいる。あと自分的には佐伯監督は「フリクリ」のニナモリ回の人。
星が大好きな中学生、すばるはある日の放課後、宇宙からやって来たプレアデス星人と遭遇した。
地球の惑星軌道上で遭難した宇宙移民船を直すため、プレアデス星人は地球人の中からエンジンのカケラをあつめる協力者を召還したという。
ところが集まったのは1人のはずが何故か5人!
「魔法使い」に任命された5人の少女たちはそれぞれ何かが足りていなくて、力を合わせようにもいつもちぐはぐで失敗ばかり。おまけに謎の少年まで現れて、こんなことでエンジンのカケラを回収して宇宙船を直すことはできるのか??
かわいそうな宇宙人を助けようと、未熟さゆえの無限の可能性の力を武器に、
友情を培いつつ、カケラあつめに飛びまわるすばるたち5人。
宇宙と時を翔る、希望の物語。
「会長」と呼ばれるプレアデス星人が、それぞれ別の運命線(≒平行世界)から呼び寄せた5人の女の子+αが主人公。彼女たちはカケラ集めのため、魔女のほうきを模したドライブシャフト*1に乗って学校を飛び出し、深海から成層圏、月、土星と飛び回り、最終的には銀河の果てまでたどり着く。すばるたちを遠くへと導くその技術はきわめて科学的でありながら、映像はとてもメルヘンなものに仕上がっている。海だったから水着、で、カケラが飛んでったのでそれを追いかけて宇宙に飛び出す第3話「5人のシンデレラ」に始まり、ファンタジーで且つえっちな見どころも。この話数に関する監督の「最初の宇宙だからやっぱり肌で直接感じてほしかった」というのもなかなかぶっとんでる。
私が好きなのは第2話「星めぐりの歌」冒頭の、まだ部室がない中、教室のカーテンの中とか廊下とか階段の踊り場とかで宇宙規模の話しているところ。
すばるたちはいずれも聡い少女だ。とはいえそれとは別に彼女たちの抱く悩みは13歳(中1)だからこそのもので、ストーリーも同様。これが14歳になるとなかなかこうも綺麗な話に収まっただろうかむつかしかったんじゃないかと思うのは、これもおおむねガイナというかエヴァが撒いた種なんだけど。
さて。すばるたちのカケラ集めを事あるごとに邪魔してくるのが「角マント」。その姿は、すばるが不思議な温室で会う「みなと」というミステリアスな少年と酷似していて、彼の正体というのがこのアニメの一つの鍵となってくる。このみなとくん(角マント)を演じているのが桑島法子。6人のレギュラーの中では一番のベテランだ。
桑島法子が演じるキャラはよく死ぬ、と言われ始めたのは「機動戦士ガンダムSEED」とその続編「SEED DESTINY」から。これ自体は、まあ長く声優やってればそういうこともあるかもね、という都市伝説以上の何物でもない。ただ彼女の内にこもった声の、ある種の「重さ」がそのような連想をさせてしまうというのはある気がする。デビュー間もない「
*1:逆?